二重の不満にわだかまるヒスパニック票 ハリス氏は潮目を変えるか
マイアミ=軽部理人
連載 混迷を歩く アメリカ大統領選2024:ヒスパニック編①
クリーニング店には「abierto」(開店中)の看板。スーパーでは店員と客が交わす「gracias」(ありがとう)が聞こえる。どこを歩いても、目や耳に入ってくるのはスペイン語ばかり。この街ではそんな印象を受ける。
米南部フロリダ州のマイアミ・デイド郡は、人口270万の約7割にあたる186万人がスペイン語圏にルーツを持つヒスパニック系だ。
ヒスパニック人口は全米で約6300万人にのぼり、総人口の19%を占める。「最大のマイノリティー」の動向は、11月の大統領選に大きな影響を与える。
伝統的に、ヒスパニックは移民に寛容な政策をとってきた民主党の支持基盤となってきた。しかしここ数年、「バイデン離れ」が進んだ。バイデン政権下ではコロナ禍に加えて急激なインフレが進み、低所得層が多いヒスパニックの生活が苦しくなったからだ。
しかし、7月下旬にバイデン大統領が選挙戦から撤退してハリス副大統領がレースを走り出すと潮目が変わった。
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