設計・施工ミス?杭が支持層に届かず 静岡・掛川のスーパーなど休業
静岡県掛川市高御所のショッピングセンター「ミソラタウン掛川」を開発したフジ都市開発(静岡市駿河区)と、入居するスーパーの遠鉄ストアは7日、ミソラタウンの建物を支える杭の一部が固い地盤に届いていなかったと発表した。遠鉄ストアなど3店舗は耐震性に問題があるとして同日、急きょ営業を中止した。
ミソラタウン掛川は昨年5月に開業。4棟の建物からなり、このうち、遠鉄ストアとマツモトキヨシ、無印良品の3店舗が入るA棟の遠鉄ストアの搬入口側で今年5月、建物と車寄せ部分との間に段差が生じているのが見つかった。
フジ都市開発と設計・施工を担った大和ハウス工業(大阪市)がボーリング調査などをして原因を調べたところ、72本ある基礎杭のうち少なくとも5本が支持層に達しておらず、建物が14センチほど沈下していた。中には8メートル足りなかったものもあるという。
調査が済んだ杭は9本で、問題がある杭はさらに増える可能性もある。
遠鉄ストアなどは、震度5クラスの地震が起きた場合に安全性が保証できないなどとする説明を踏まえ、営業中止を決めたという。
フジ都市開発は、調査を進めた上で建て替えたい考えだが、営業再開には2年ほどかかる見通しだという。同社は「設計・施工のミスだと思われる」とし、遠鉄ストアとともに大和ハウス側に補償を求める方針だ。
大和ハウスは「多大なるご迷惑をおかけし、心よりおわび申し上げます」とのコメントを出した。大和ハウスによると、杭の打ち込み時のデータに問題はなかったとしているが、データ偽装の可能性も排除せずに実態解明を進めるという。
遠鉄ストアとマツキヨは休業、無印は閉店を決めて店頭に掲示を出し、来店客には従業員らが事情を説明していた。
スーパーを訪れた主婦(42)は「品ぞろえはもちろん、雰囲気が良く大好きな店だったのでショックです。早く再開してほしい」と話した。100円ショップなどが入る他の棟は通常通り営業している。