松代大本営工事から80年、朝鮮人労働者を追悼 「平和築く歩みを」

北沢祐生
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 太平洋戦争末期、長野市松代町に掘られた松代大本営地下壕(ごう)の工事開始からちょうど80年を迎えた11日、動員されて犠牲になった多数の朝鮮人のための「追悼の集い」が現地で開かれた。

 象山地下壕入り口にある朝鮮人犠牲者追悼平和祈念碑の前に、関係者ら約20人が集まった。

 主催した松代大本営追悼碑を守る会によると、戦後50年の1995年8月10日に碑が建てられてから、毎年この10日に追悼の集いを催している。工事に関する節目としては前回、10年前に開いて以来という。

 この日は、東京朝鮮歌舞団の女性が鎮魂の舞を踊り、工事で最初のダイナマイトを爆発させたという午前11時11分に合わせて黙禱(もくとう)を捧げた。地下壕は本土決戦に備えて天皇や軍幹部らの最高機関を東京から移すために掘られた。45年8月15日の終戦の日まで突貫工事は約9カ月間続いた。

 守る会会長の長野大学名誉教授、表秀孝さん(83)は昼夜兼行の過酷な掘削作業、劣悪な生活環境のため「事故や病気、栄養障害で多くの朝鮮人労働者の犠牲が出た」と指摘する。朝鮮人は「創氏改名」で日本名に変えられるなどしたため、「追跡調査も進まない状況にある」などとして実態解明のための日本政府の協力を強く求めた。

 最後に「ここで起きたことを心に刻み、歴史を忘れずに平和を築く歩みを緩めずに進もう」と呼びかけた。

 在日韓国人の団体からは「二度と戦争を起こさないための平和の発信源として大切に保存し、伝えていかなければならない」とするメッセージが寄せられた。

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