高野山・金剛峯寺の奥殿など国登録文化財に13件 文部科学相に答申

大野博
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 国の文化審議会は22日、和歌山県高野町にある高野山真言宗総本山金剛峯寺の奥殿、別殿、常喜院の本堂、山門など計13件を、新たに有形文化財(建造物)に登録するよう、阿部俊子文部科学相に答申した。

 金剛峯寺は9件で、そのうち、奥殿、別殿、奥殿渡廊下、勅使門と奥殿塀は、1934年の「弘法大師御入定(ごにゅうじょう)1100年御遠忌(ごおんき)」を記念して、その前年に建てられた。奥殿は皇族用の貴賓室として使われる客殿で、中世風の玄関をはじめ、随所に古式ゆかしい要素を採り入れた格式高い建物とされる。

 新書院は57年に神戸市から移築された大正前期の建物。奥殿と同様に貴賓室として使われた。71年には当時皇太子・皇太子妃だった上皇・上皇后、77年には昭和天皇・皇后がご宿泊された。内部は障壁画で華やかに飾られている。

 真松庵は和歌山市出身でパナソニック創業者の松下幸之助氏の寄進により64年に建てられた貴賓用の茶室。阿字観(あじかん)堂は67年、堂宮大工の辻本喜次氏が設計・施工を担った瞑想(めいそう)のための道場。辻本家は高野山で代々続く棟梁(とうりょう)家で、その技術力の確かさを伝える建造物という。

 金剛峯寺の建物以外には、子院の一つで壇上伽藍の東にある常喜院の建物4件がリストアップされている。本堂は江戸時代末期に建てられ、火災に強い土蔵造りなのが特徴で、高野山寺院の本堂建築の典型の一つという。山門は55年ごろ、辻本氏の設計・施工で建てられたと伝わる。古代や中世の社寺建築から引用した細部の意匠に特徴があるという。

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