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倍率35倍の人気、東洋大の新入試が物議 「ルール違反」と文科省

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上野創
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 東洋大学(本部・東京都)が1日に実施した新たな入試が物議を醸している。

 志願者約2万人、志願倍率が約35倍に上る人気ぶりだが、文部科学省は「ルール違反」と指摘し、高校側からは「高校教育を壊す」と厳しい批判も出ている。何が起きたのか。

 1日午前8時半、東洋大白山キャンパス(東京都文京区)の門が開かれると、並んでいた受験生たちが受験票を手に、次々と試験会場へと向かっていった。

 新入試は「学校推薦入試 基礎学力テスト型」。出身校を指定しない「公募制」で、東洋大の他の試験や他校との併願もできる。

 募集は全学部で計578人。同大によると、約2万人が志願し、1日は東京都と埼玉県内の4キャンパスに加え、神奈川県千葉県内でも会場を確保して入試が行われた。

 一般的に、学校推薦型選抜は年内に実施されることが多く、総合型選抜と並んで「年内入試」と呼ばれることもある。高校在学中の学業成績、運動・文化活動や学校外活動の実績などを調査書や推薦書で審査し、面接や小論文、集団討論なども課して合否を決める。

 一方、東洋大の新入試は、生徒と学校長の名前を書いた推薦書を提出するものの、実質的に「英語・数学」か「英語・国語」の2教科のテストで合否が決まる。英語は英検など民間試験の成績も利用できる。試験結果は10日に発表される。

 東洋大の加藤建二入試部長は、新入試について「学力を測る入試を広げ、基礎学力と学ぶ習慣が身に付いている学生の割合を増やしたいという、本学の方針に沿って始めた」と説明する。

 学力重視を打ち出したのは「基礎学力をつけずに年内入試に臨む一部の受験生の風潮に、一石を投じたいという思いがあった」「(推薦型選抜で求める調査書や事前課題は)生徒本人の力でなく周りの大人の協力次第となる場合がある。公平に実力を見る方法を模索した」とも語った。

 わずか募集600人弱の入試が波紋を呼んでいるのはなぜか。

この入試を「違反」とする指摘の根拠となる「大学入試のルール」とは。そして、受験生側からは歓迎の、他大学関係者からは戸惑いの声が上がっています。

 大学入試には、全国の大学や…

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この記事を書いた人
上野創
東京社会部|教育担当
専門・関心分野
教育、不登校、病児教育、がん
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    佐藤優
    (作家・元外務省主任分析官)
    2024年12月2日1時25分 投稿
    【提案】

     東洋大学の一般入試の受験料は3万5千円です。「学校推薦入試 基礎学力テスト型」の受験料が、いくらか私は承知していませんが、仮に3万5千円とすれば、2万人が受験すれば大学に7億円の収入があります。私立大学にとって、経営的観点からもとっても魅

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    平尾剛
    (スポーツ教育学者・元ラグビー日本代表)
    2024年12月2日10時11分 投稿
    【視点】

    記事を一読して率直に感じたのは、受験生やその保護者にとって利のある入試だということである。しかも、進路指導をはじめとする高校にとっても小論文や面接の指導という労力が省けるわけで、多忙を極める高校教員にとっても利がある。この点からいえば歓迎す

    …続きを読む
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