アレフの関連施設が甲賀市に2施設 住民「我がことと捉えて」
オウム真理教の後継団体「アレフ」の関連施設が、滋賀県甲賀市内に2施設ある。オウムが起こした凶悪事件から歳月が過ぎたが、近隣住民は今なお、不安や恐怖を抱きながら生活している。
多くの死傷者が出た松本サリン事件から6月で30年が経ち、地下鉄サリン事件から来年3月で30年になる。
公安調査庁によると、オウムは現在、教祖だった松本智津夫(麻原彰晃)元死刑囚に絶対的に帰依する「アレフ」「山田らの集団」、松本元死刑囚の影響を払拭(ふっしょく)したかのように装う「ひかりの輪」として活動している。
三つの団体は、団体規制法の観察処分を受けており、3カ月ごとに構成員などを公安調査庁に報告する必要がある。国内の構成員は約1650人で横ばい状態が続いている。関連施設は15都道府県に30施設ある。
滋賀県内には7月末時点で22人の構成員がいる。甲賀市の水口町宇田と信楽町小川の2カ所に、アレフの関連施設がある。以前は湖南市にもあったが火災で焼失した。
甲賀市内の2施設に対しては、公安調査庁が直近では10月に立ち入り検査を実施。松本元死刑囚の写真や説法を収録した教材などを確認したという。
水口町宇田の施設は住宅地にあり、地区には「オウム(アレフ)断固反対」などと書かれたのぼり旗が並ぶ。施設はもとは民家だったが、構成員が1998年ごろから修行場兼住居として使用しているという。
近くに住む女性は「直接危害はないが、実態がわからないから不気味。周辺の人ぐらいしか関心を持ってくれないが、施設はどこにできてもおかしくない。みんなに知ってほしい」と話す。別の女性は「土地の値段も下がって困る」と話した。
信楽町小川の施設は自然豊かな地域にある。もとは空き家だったが、2016年ごろから構成員が住居などとして使っている。建物のほとんどが木々で見えなくなっている。現在はアレフの幹部も住んでいるという。
地区にのぼり旗は立っていないが、地域の担当者が定期的に監視を続けている。近くの男性は「何をしているかわからないから地域の住民は怖がっている」と話す。
水口町宇田と信楽町小川の住民らは昨年5月、甲賀市オウム対策住民協議会を結成。アレフの解散・解体をめざして力を合わせる。11月24日には、水口町宇田の施設前で抗議集会を行った。
水口町宇田の施設の近くに住み、協議会会長を務める荒川寿史さんは「信者がいる限り活動は続けていく」。地域に空き家ができたときには、団体の施設ができないように、不動産会社に注意喚起しているという。
信楽町小川の施設の近くに住み、協議会副会長を務める杉本照男さんは「いつなんどき、どういう状況になるかわからないから怖い。行政も本腰を入れてほしい」と訴える。
少子高齢化に伴い、各地で空き家が問題になっている。団体の施設ができたら、地域で監視を続けていかないといけなくなる。杉本さんは、空き家がアレフの関連施設となった経緯から、「どういう人が空き家に入るのか、地域で関心を持たないといけない。我がこととして捉えてほしい」と呼びかけている。
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- 【解説】
オウム真理教後継団体「アレフ」の滋賀県内での様子。終わらない問題であることがうかがわれる。写真ののぼり旗には「私たちのまちにオウムはいらない」とある。住民批判のつもりはないが、それならばそこからいなくなれば解決なのか、どこなら「いる」のかと
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