QRコードに「長方形」が 正方形の課題を解消、誕生に二つの工夫

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編集委員・伊藤裕香子
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■次世代のQRコード【前編】

 差し出されたのは、マッチ棒ほどの細長い金属の部品だった。直径3ミリ、長さ5・7センチ。「こんな円柱状のものにQRコードを印刷すると半周ほど覆われてしまい、カメラに映らない部分ができてしまうんです」

 そう言ってデンソーウェーブ(愛知県阿久比町)の神戸(かんべ)陽介さん(38)がルーペ越しに見せてくれたQRは長方形。縦1ミリ×横2・2センチと、ごくごく小さい。

 見慣れた正方形のQRでは細長い余白に収まらず、印刷できても曲面になると、カメラで読み取りにくい。こうした課題を解消するのが、神戸さんが開発した長方形のQRだ。2022年5月、「rMQR」の名で発表された。「Rectangular(長方形)」と「Micro(極小)」の頭文字からとった。

 正方形から長方形への進化と言っても、狭くなると一筋縄にはいかない。情報を格納する面積は確保しながら、正方形のQRコードで使われている、瞬時に情報にたどりつける「読み取りやすさ」の目印を長方形の中にバランスよく配置する必要がある。この調整に「けっこう苦労した」という神戸さん。二つの工夫を忍び込ませた。

 一つは読み取り機がコードの…

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この記事を書いた人
伊藤裕香子
編集委員
専門・関心分野
税財政、くらしと消費、地方経済