「勝てる」 弁護士に予感させた二つの理由 長時間労働自殺の訴訟

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森北喜久馬
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 熊本県警玉名署の刑事課巡査が自殺したのは署が長時間労働を続けさせていたためだとして遺族3人が県に損害賠償を求めた訴訟で4日、熊本地裁は県に6180万円の支払いを命じた。原告側弁護士が「主張が100%認められた」と評価する完勝だった。24歳だった息子の死から7年余。提訴した母親は「これで名誉が回復できる」と話しつつも笑顔はなく、兄妹とともに涙にくれた。

 亡くなった渡辺崇寿(たかとし)さんの母親美智代さん(64)、兄の真道さん(33)、妹の珠美さん(29)の3人は喪服に身を包み、判決に臨んだ。着席した珠美さんのひざには警察官の制服を着た兄の遺影があった。

 判決が言い渡されると、3人はそれぞれ涙をぬぐった。

 美智代さんは、崇寿さんが亡くなってから半年間は裁判をするつもりはなかった。その気持ちが変わったのは、遺品のバッグを届けに来た玉名署員の一言だった。

 「責任ある仕事はさせてはいません」

 「これでは何も変わらない」…

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