小さな海辺の集落に400人足らずが暮らす。熊本県天草市河浦町崎津は、静かな祈りの集落だ。江戸時代の禁教期から、潜伏キリシタンは、寺の門徒でもあり、神社の氏子でもあった。キリスト教、仏教、神道の3宗教がひっそりと共存し、荒々しい時代の波を乗り越えてきた。
【撮影ワンポイント】崎津集落
教会の対岸に渡り、集落を見下ろした。日が暮れるのを待ったが、周辺の山に遮られ、残念ながら夕日は届かず。その代わりに薄暮の中、しっとりと落ち着いた街並みの様子を切り取ることができた。この日は早朝から吹いた風の影響で、出航する船は少なめ。なかなか航路がつかめず、アングルを探すのが難しかった。(小宮路勝)
集落の中心に、1934年に建てられた崎津教会がある。フランス人宣教師のハルブ神父が当時、強く希望した建設地は、キリシタンを厳しく取り調べた庄屋役宅の跡地だった。絵踏みを強いられた場所に、教会内の祭壇が置かれている。
静かな入り江がそばに広がっている。「取り調べを受け、海へと投げ捨てられた信心具を、夜中にひっそりと拾いに行った悲しみの海でもある」。現地を案内してくれた地元の地区振興会長、亀子研二さん(79)は言う。住民のプライバシーを守るための節度ある観光を呼びかけている。
教会の壁は、途中で色と建材…
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