外国籍の子通う保育園、特区で母国の資格容認 日本の保育士雇用に壁
外国籍の子どもが多い認可外保育園について、愛知県岡崎市が、外国人職員を採用しやすくする国家戦略特区の認定を受けた。子どもたちと職員が母語で安心してコミュニケーションを取れる環境を整え、帰国後も見据えた手厚い保育を目指す。認定は沖縄県北谷町に次いで全国2例目となる。
同市内でブラジル国籍の子ども約30人が通う認可外保育園「カンチニョ・ダ・チア・シェシェラ」。4~5歳児のクラスでは、子どもたちが鏡をのぞき込みながら自分の顔を描いていた。
福岡ミチコ園長が傍らに座り、自分の眉毛を指さしながら「ここは眉毛っていうんだよ」と語りかける。部屋の反対側では、1~2歳児クラスの子どもたちがブラジル出身の職員とブロックで遊んだり、抱っこをしてもらったりして笑顔を見せていた。
専門資格あっても基準クリアに高いハードル
園内で交わされる言葉はポルトガル語。「日本で暮らしても、いずれ母国に帰ったときに親族と話すことができるように」と福岡さんは言う。
福岡さんはブラジルから来日し、出産をきっかけにベビーシッターをしていた。ブラジル人保護者からの申し込みが相次ぎ、2016年に同保育園を設立した。
園では「子どもたちに質の高いプログラムを提供したい」と、ブラジル政府が定めた基準に沿って日々の活動内容を計画。保育について同国の大学で学び、保育士に相当するブラジルの専門資格がある職員を多く採用してきた。だが、職員の3分の1以上が日本の保育士か看護師の有資格者と定める日本の認可外保育園の基準はずっと満たせなかった。
保育士の人手不足が深刻化する中、外国語を話せる日本人の保育士を雇うことはさらにハードルが高い。また外国人職員が日本の保育士資格を取得したり、子どもたちが日本の保育園に転園したりすることにも言葉の壁が立ちはだかる。こうした課題の解決を求める声が自治体から政府に寄せられていた。
「親子の安心に」 共生へのメッセージにも
これを受け、政府は昨年度か…