エネ基が描く未来、国際約束とズレ? 経産省の「悲願」はかなったが

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市野塊 多鹿ちなみ
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 経済産業省は17日、国のエネルギー政策の方向性を示す「エネルギー基本計画(エネ基)」の素案を示した。東京電力福島第一原発事故後に掲げた「原発依存度を可能な限り低減する」との文言を削り、原発回帰にいっそう力を入れる内容だ。

 そもそもエネ基は原発推進のため2003年に初めて定められた。東日本大震災で方針が大きく変わり、14年の改定時には「震災前に描いてきたエネルギー戦略は白紙から見直し、原発依存度を可能な限り低減する」と掲げた。歴代政権も原発には慎重な姿勢で、その後の改定でも「低減」の文言は維持されてきた。

 原発を推進する経産省にとって、「低減」の文言を削ることは悲願だった。ウクライナ危機によるエネルギー価格の高騰を契機に、布石を打った。岸田文雄前政権が22年7月に立ち上げた「GX(グリーン・トランスフォーメーション)実行会議」だ。

 岸田氏は再生可能エネルギー

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この記事を書いた人
市野塊
科学みらい部兼国際報道部|環境省担当
専門・関心分野
気候変動・環境、医療、テクノロジー
多鹿ちなみ
経済部
専門・関心分野
エネルギー政策、人権、司法
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    能條桃子
    (NOYOUTHNOJAPAN代表)
    2024年12月17日17時59分 投稿
    【視点】

    日本のCO2排出の9割がエネルギー由来であることから、このエネルギー基本計画は気候変動対策にとって重要な意味を持ちます。 「火力は二酸化炭素の回収・貯蔵や、水素やアンモニアとの混焼技術などを使うとしつつ3~4割残した」となりましたが、新技術

    …続きを読む