温室効果ガス、新削減目標の数値ひとまず空白に 政府方針へ賛否続出

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市野塊
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 環境省経済産業省は19日、両省合同の検討会で、2050年の温室効果ガス排出実質ゼロに向けた、政府の新たな温暖化対策計画の素案を示した。計画で重要になる排出削減目標については、会議時間を延長してもまとまらず、20日も議論を続けることになった。

 素案では、地球温暖化対策について、「科学的知見に基づき、国際的な協調の下で、排出削減と経済成長の同時実現を図りつつ、率先的に取り組む」と明記。排出削減については、現在掲げている「2050年ネットゼロ(排出実質ゼロ)の実現に向けた経路をたゆまず着実に歩んでいく」との方針を維持した。

 一方、11月には、35年度に13年度比60%減を軸とする案を公表していたが、素案で数値は空白とした。「35年度60%減」は、政府が掲げる50年排出実質ゼロに向けて直線的に排出量を減らした場合の経路上にあるが、異論が相次ぐ半面、擁護する声も根強かった。

目標の引き上げ求める声続々

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が示す世界目標では、気温上昇を産業革命前から1.5度に抑えるには19年比60%減、日本が基準年で使う13年度比で66%減が必要となる。

 「高い目標を掲げることによって、企業の技術開発が進む」「60%台前半の目標も可能ではないか」。福田富一栃木県知事は10日、環境省へ全国知事会からの提言の後、記者団にこう答えた。

 与党の公明党からも引き上げ…

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この記事を書いた人
市野塊
科学みらい部兼国際報道部|環境省担当
専門・関心分野
気候変動・環境、医療、テクノロジー