1人欠け5人で挑む最後の冬 和歌山南陵が結束した夏と崩れかけた秋
ベンチを含め、選手は5人だけ。5対5のバスケットボールでは異例の陣容で、男子の和歌山南陵は23日に幕を開けるウインターカップ(WC、東京)に挑む。
部に在籍するのは3年生6人だが、11月にナイジェリアに帰国した留学生のアリュウ・イドリス・アブバカが母国の大学に進む準備が終わらず、WCまでに日本に戻ってこられなくなった。
「(これが)最後の爆弾」と肩を落とす和中裕輔コーチ(29)の脳裏に、チームで乗り越えた困難の数々が浮かぶ。
創部3年目の2022年5月、運営する学校法人が経営難で教職員に給料を払えず、授業のストライキが起きた。部員ら寮生の朝食は一時、菓子パン1個と紙パックのジュースだけに。同年12月には私立学校法に基づく措置命令を受け、新たな生徒の募集が停止された。
当時の新入部員14人は先の見えない不安で次々と転校した。翌春に残った2年生6人が、いまの3年生。現主将の二宮有志(ゆうじ)は「その先、学校があるかもわからないから(同級生を)止められなかった。悲しかった」。二宮は地元の愛知を離れて、全国の常連になりつつあった同校を選んだ。途中で投げ出したくなかった。
掲げた「走らないバスケ」
昨年のWCが終わり、チームはついに6人だけになった。
二宮は1対1に強く、プロの…
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