辺野古埋め立て、軟弱地盤改良に着手へ 代執行から1年、続く対立

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棚橋咲月
【動画】国による「代執行」から1年が経過した辺野古の沿岸部=遠藤雅彦撮影
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 米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画で、防衛省は27日、計7万本以上の杭を打つ軟弱地盤の改良工事を28日から始めると発表した。国が辺野古北側・大浦湾の埋め立てに必要な設計変更を県に代わり承認する「代執行」に踏み切ってから、28日で1年。今後も難工事が続くことが予想され、政府と沖縄県の対立も続いている。

 防衛省は昨年12月28日、地方自治法に基づく初めての代執行により、計画全体の4分の3にあたる大浦湾側110ヘクタールの埋め立てを進める権限を得た。今年8月から、埋め立て予定地北側で比較的地盤のかたい「A護岸」の造成に着手。11月からは、北側と南側の中間にある辺野古崎突端部への土砂投入も開始し、新たに宮城島(うるま市)からの土砂搬出も始めた。

 政府は大浦湾側を8年かけて埋め立て、すでに陸地化した南側の区域と合わせて2030年代半ば以降に移設事業を完了させるとしている。

 ただ、全体の埋め立てに必要な土砂2020万立方メートルのうち、投入を終えたのは16%(11月末時点)にとどまっている。A護岸の工事では3年10カ月かけて1千本の杭を海底に打つ計画だが、12月中旬の衆院安全保障委員会では、8~11月に打ち込んだ杭は29本にとどまることが明らかになり、このペースでは10年かかると指摘された。一方で23年度までに投じた事業費は5319億円と、すでに総事業費9300億円の6割近くに達している。

 28日に着手する軟弱地盤の改良工事では、まず海底に砂を敷き、その後、約7万本の杭を最大70メートルの深さまで打ち込むが、難工事が予想されている。玉城デニー知事は「建設は実現困難」との立場を変えていない。

 普天間の返還は、1995年の少女暴行事件を受け、日米両政府が沖縄の基地負担軽減のためとして合意した。来年は合意から29年となるが、全国の米軍専用施設の7割が沖縄に集中する状況は変わっておらず、今年は米兵による性暴力事件も相次ぎ発覚した。

「民意を踏みにじり、地方自治をないがしろ」

 沖縄県の玉城デニー知事は2…

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この記事を書いた人
棚橋咲月
那覇総局
専門・関心分野
沖縄、平和
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    座安あきの
    (ジャーナリスト・コンサルタント)
    2025年1月4日12時37分 投稿
    【視点】

    新年が明け、いよいよ米トランプ政権が発足します。国際秩序が崩れ、法の支配を超越した権力が都合よく現状変更を迫ってくる流れが本格化すると思われます。時代の大転換に伴い、日本政府が「唯一」と固執し強行してきた辺野古の新基地建設にもゼロベースの見

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    木村司
    (朝日新聞社会部次長=沖縄)
    2024年12月28日20時41分 投稿
    【視点】

    急速に関心が失われ、揺り戻す気配さえない現状に危機感を覚えています。「辺野古」を巡るこの1年を振り返ったときの実感です。現状を俯瞰すれば、普天間返還の日米合意の目的のうち、最も強調された「沖縄の基地負担軽減」は見えない一方で、もう一つの(あ

    …続きを読む