第1回「物価は上がらない」に慣れすぎた国で 苦しむ国民と日銀の「ずれ」

有料記事異次元緩和 残したゆがみ

山本恭介
写真・図版
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 新年を前に、夕暮れの東京・池袋は若者や家族連れでにぎわっていた。2024年12月31日。歩くのも難しいほどの人混みと、騒々しさを抜けた先に東池袋中央公園がある。そこには350人を超える行列ができていた。

 強風が吹きすさび、指先の感覚がなくなるような寒さ。多くが無言でそのときを待っていた。午後6時、一人ひとりにアジフライ弁当や果物が手渡されていった。生活困窮者を支援するNPO法人が無料で開いている「炊き出し」だ。

 「抵抗感はあったけれど、生活が苦しくて」。近くに住む女性(30)は1カ月前に体調を崩し、正社員の職を失った。

 貯金がみるみる減っていく大…

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この記事を書いた人
山本恭介
経済部兼国際報道部兼デジタル企画報道部|銀行担当
専門・関心分野
資産形成、社会保障、労働政策
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    小熊英二
    (歴史社会学者)
    2025年1月7日10時37分 投稿
    【視点】

    理由に「ノルム(社会的規範)」を挙げたということは、素人なりに考えると、これまでの政策を支えていた経済学理論の限界を認めたということになるのではないか。 私見では、それは良いことと思う。 学問や理論は、現実を一つの角度から分析するための

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    たかまつなな
    (笑下村塾代表)
    2025年1月16日16時9分 投稿
    【提案】

    古典的経済学では、まずはじめに、「合理的経済人」モデル、すなわち、人は最も経済合理性が高い選択をするという仮定を学びます。例えば、より高い賃金の職場があれば転職し、貯金するよりも投資したほうが儲かるならば人は皆投資し、国家が用意した福祉は最

    …続きを読む