テレビと成長してきた芸能界 露呈した体質 いよいよ曲がり角なのか

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構成・滝沢文那
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 芸能界は2024年も激動だった。旧ジャニーズ事務所(ジャニーズ)からマネジメント業務を引き継いだSTARTO ENTERTAINMENT(スタートエンターテイメント)の始動、松本人志さんを巡る性加害報道と休業、相次ぐ芸能事務所の閉鎖……。長年業界を見つめてきたアイドル評論家の中森明夫、芸能界の構造的な問題を指摘し続けてきたジャーナリストの松谷創一郎の両氏が対談。前半はジャニーズ問題や松本人志さんについて語り合った。

中森明夫さん、松谷創一郎さんと振り返る2024年芸能界 

 ――24年も芸能界では様々な出来事が相次ぎました。朝日新聞でのお二人の対談は、19年末以来。ジャニー喜多川氏の死去、吉本興業を中心とした闇営業問題などがあった年でした。

 中森 象徴的ですね。あのときの話題も、ジャニーズと吉本でした。芸能界の流動化は当時から予想できていたけど、ジャニーズがなくなるとまでは思っていなかったし、コロナ禍は予想できなかった。

 松谷 19年は公正取引委員会が、独立した元SMAPの3人の出演を妨害しないように、とジャニーズを注意した年でもありました。コロナ禍の3年間で、テレビを中心とした芸能ビジネスの崩壊が加速した部分もあると思います。

 ――ジャニーズを巡る話題から入りましょう。23年は、創業者・故ジャニー喜多川氏の性加害が大きな社会問題になりましたが、24年は改名したSMILE―UP.(スマイルアップ)からマネジメント業務を引き継いだスタート社が本格始動しました。

 中森 補償の数を積み上げて、そのまま終わりというわけにはいかない。スマイル社の東山紀之社長は、必要があれば記者会見をすると約束したわけですから、公の場所でしっかり説明してほしい。

 松谷 あわせて、ジャニーズによるメディア支配の検証は、引き続きしていく必要がありますね。フジテレビ系「SMAP×SMAP」やテレビ朝日系「ミュージックステーション」については、結局何があったかははっきりとしません。

 中森 今年の動きに絞れば、2年連続で紅白歌合戦には出ないことになった。今後、スタートエンターテイメントがどうするのかということは気になります。NHKは実際、稲葉延雄会長が出演を解禁した。一方で、その後のジャニーズ問題を扱ったNHKスペシャルを見てスタート社側が怒ったとか、出演者の枠数で折り合わなかったとか、様々な情報が飛び交いました。スタートの福田淳社長は、のん(本名・能年玲奈)さんのサポートをしてきた人でもあるし、過去の芸能界の改革を求めた発言などを見ていると、まともな感覚を持った人だと、僕は思う。社長としては、スタートの今後のためには紅白に出たほうがいい、という判断もありだったんじゃないかと感じます。

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この記事を書いた人
滝沢文那
文化部|放送担当キャップ
専門・関心分野
放送・芸能、批評、思想、文学、演劇