県立河北・寒河江市立の病院統合、候補地7カ所 25年度に決定へ
山形県立河北病院(河北町)と寒河江市立病院を統合・再編する新病院の整備計画で、県と市が設置した協議会が基本構想案をまとめた。焦点の一つの建設候補地は7カ所が示され、2025年度中に1カ所に絞り込む。事業費は110億~123億円を見込み、31年の開院をめざす。
診療実績が少なかったり、機能が似たりする全国の病院に国が統合・再編の議論を求めていた。寒河江市と河北、西川、朝日、大江4町の西村山地域は医師の確保が大きな課題で、入院患者や救急搬送の過半数が地域外に流出しており、協議会が昨年5月から検討を進めてきた。
基本構想案は新病院の役割として「地域密着型病院」「西村山地域の救急医療を支える柱」「地域包括ケアシステムの中核病院」「回復期の医療が必要な地域住民の受け皿」の四つを示した。
両病院の診療科は原則維持し、内科や外科、泌尿器科など16科。分娩(ぶんべん)には対応せず、妊娠33週までは身近な診療所で妊婦検診を受け、34週~産後1カ月は希望する総合病院に通院・入院する「産科セミオープンシステム」を活用する。
現在の病床数は県立河北病院136床、寒河江市立病院98床の計234床。それに対し、新病院は人口減少などを踏まえ140~155床程度とする。延べ床面積約1万2580平方メートル、敷地面積約2万7千平方メートルを想定し、両病院の合計の半分を下回る規模となる。
運営形態は、構成自治体が病院経営などに直接的に関与できる一部事務組合が望ましいとした。県と寒河江市を基本に、西村山地域4町の意向があれば共同で運営母体を設立する。
7カ所の候補地は交通アクセスや防災、整備費用などを重視し、県と寒河江市の公有地などから選んだ。6カ所は寒河江市内で、統合が予定される陵西、陵東、陵南の3中学校、寒河江市立病院、民有地の中央工業団地西側区域とほなみ団地東側区域。河北町内からは県立河北病院が選ばれた。
昨年12月の寒河江市長選で初当選し、今月20日に任期が始まる前副市長の斎藤真朗氏は、統合中学校の開校を速やかに進め、中学校跡地で建設したいとの考えを示している。一方、河北町区長会は県立河北病院の敷地に建設するよう1万1千人超の署名簿とともに県に要望するなど、建設場所に注目が集まっている。
協議会は山形大や県医師会、西村山地域4町などから意見を聴き、県民の声を募る「パブリックコメント」を実施。3月中に基本構想をまとめ、25年度に基本計画を作る計画だ。
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