C線上のアリア:113 湊かなえ

[PR]

 大学生になった最初の冬、大道芸が見られる公園に行った帰りだった。昼間は暖かかったのに、夕方になると急に風が強くなり、冷え込んだ。

 ――寒いね。あー、ちらし寿司(ずし)が食べたいな。

 ――こんな日に?

 邦彦は足を止めて驚いた。

 ――あれ? 同じ食べ物が頭に浮かんでないのかな。

 そんなやり取…

この記事は有料記事です。残り731文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

連載連載小説 C線上のアリア

この連載の一覧を見る