「健常です」とアピールさせる社会 損失対策の陰で排除される人権

有料記事

聞き手・田中聡子
[PR]

 「うつ病の経済的損失は2兆円」「月経に伴う労働損失は4900億円」――。人の状態や病気などが「損失」として示されることがあります。分かりやすい指標ですが、損失扱いへの違和感を抱くことも。「車椅子の上の哲学者」とも呼ばれるというアーティストの近藤銀河さんは、「『損失』は『健常』を規定する」と指摘します。話を聞きました。

 ――「経済損失」などとして問題が可視化されることを、どのように感じていますか。

 「分かりやすい形で社会に課題を示すことで、対策などが進むことは実際によくあります。うつ病も障害もそうですし、LGBTも『雇用差別による損失』や『自殺やうつによる損失』として語られ、社会課題として把握されるようになった面はあります。短期的に見れば、そうやって物事が動くのはいいことなのかもしれません。ただ、それでいいのだろうか?という感覚もずっとあります」

 「損失として提示され、『こ…

この記事は有料記事です。残り2112文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【初トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら