私立よりも学費がかからず、6年通した教育が受けられる公立中高一貫校。東京都内でも根強い人気があるが、受検日が1日限りで高倍率のため、「ばくち性が高い」とも指摘される。公立中高一貫校の受検をとりまく状況は、どのようになっているのか。
「お子さん、中学受験するんですか?」。都内に住む40代の会社員男性が、長男の公立中高一貫校の受検を考え始めたのは、長男が小3の秋ごろ。同い年の子を持つ同僚から聞かれたのがきっかけだった。
夫婦とも中学受験の経験はなく、子どもは長男を含めて3人。家計を考えると、塾や私立中に通わせるのは現実的ではなかった。
ただ、都内に公立の中高一貫校が11校あると知り、「それなら、普段の勉強の延長線で挑戦できるのではないか」。都立校の受検は2月3日のみの一発勝負だが、「受かるかわからないけど、もし受かったら良いよね」。そんな軽い気持ちで、塾無しでの「中学受検」が始まった。
サッカーをしていた長男も、近くの都立中に大きなグラウンドがあることがやる気につながった。まずは、小学校の「内申書」にあたる「報告書」の評価を上げるため、「学校の授業をしっかり受けて、宿題をやる」との基本を徹底。その上で、市販のテキストを使い、男性や妻が教えるようにした。コロナ禍で、男性がほぼ在宅勤務になったことも大きかった。
学校の成績も順調にあがり、手応えを感じた。だが、勉強が進むにつれて、悩みは深まった。
高い倍率で、一発勝負の公立中高の受検。記事後半では、2つの塾に通って私立と併願受験した家庭の思いや、教育関係者に聞いた最近の受検動向も紹介しています。
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まず、反抗期の長男と衝突す…