異例のスピード解散を経て始まった衆院選も終盤へ。一票を投じる10月27日に向け、いま、大事にしたいことは何か、さまざまな社会課題と向き合う立場から考えます。
性的マイノリティー関連の公約について、政党や候補者へのアンケートを続けている「LGBT法連合会」。事務局長の神谷悠一さんは「無視できないイシューになってきた」と成果を実感しつつも、個々の政治家の態度については不安もあるようです。3年ぶりの衆院選で問われているものは。
10・27を話そう⑤ 政治家の性的マイノリティーに対する姿勢を問う神谷悠一さん
――政策アンケートを通じて何が見えてきますか。
2016年以降、節目の選挙や党首選で実施してきましたが、年を追うごとに政党からしっかりとした回答が返ってくるようになってきました。性的マイノリティー関連の施策が、無視できないイシューになってきたということではないでしょうか。
一方で、政治家個人の単位になると話は異なってきて、性的マイノリティーに関する問題に強い関心のある一部の政治家や、関連政策推進をしたい政治家、あるいはそれらに強く反対を表明したい政治家が積極的に回答しています。つまり、賛成もしくは反対という意思表示をしたい政治家以外は「別に答えないほうがいいよね」というふうに思っているのかもしれない、と感じています。
――2021年の前回衆院選と今回の違いは。
前回は、国会でLGBT理解増進法を作る動きが始まり、その内容を巡って議論がありました。その法律が昨年23年にできたので、政策課題としては「もう終わった話だよね」とか「収まった議論だよね」と多くの政治家が考えているのではないでしょうか。もしもそうだとすれば遺憾です。
実際、様々な政策集を見ても、前回よりも小さな文字で性的マイノリティー関連に触れていたりとか、一覧表の中に出てくるだけだったりとか、印刷されたパンフレットには出てこなかったりとか、そういった違いがあるように思います。
――最高裁が昨年、トランスジェンダーの人が戸籍上の性別を変える際に、生殖能力を失わせる手術を求める「性同一性障害特例法」の要件を憲法違反で無効だと判断しました。性的マイノリティー関連では、その他にも重要な司法判断が相次いでいます。政治家や政党はどう対応しているのでしょうか。
与野党それぞれの立場もある…
- 【視点】
ある種の行き詰まり感を覚えます。LGBT法連合会をはじめ、当事者側の運動によって性的マイノリティーの権利問題はテーマとしては広く認知されてきました(「はやっている」)。しかし、多くの市民が自分や身の回りの範囲を超える公共的な関心を十分に持
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