今年の夏の選手権大会期間中、とあるクイズ番組の収録現場に立ち会う機会があった。最近はクイズの応援に行く回数が減っていたので、貴重な機会と思って東京のとあるスタジオにお邪魔させてもらうことにした。収録はもとよりオンエアーは再放送まですでに終了しているので、結果も含めてその時の様子をこの場に記録しておこうと思います。
もともとは選手権大会の準々決勝を見に行く予定にしていたが、思わぬ話が舞い込んできたため急きょ予定を変更することになった。そんなわけで大会も佳境に入った第12日の朝、新幹線に乗り込み甲子園球場ではなく東京へと向かうことにした。出かけるときは物凄い雨でどうなるかと思ったが、車で近くの駅にたどり着いて駐車場に車を止めることができて胸をなでおろす。新幹線に乗っている間もずっと雨が降っていて(わたしはほとんど寝ていたが)、3時間余りかけて到着した東京でも小雨が降っていた。地下鉄に乗り換え、最寄り駅からは少し歩いてスタジオへ。
そんなこんなでやってきた某BS局は、思っていたほど大きな社屋ではなかった。以前にこの番組を制作、放送していた大阪のテレビ局は巨大な建物で、それと同じようなものをイメージしていたので少し意外に感じる。この日の収録は、小学生親子ペア大会。あらかじめ伝えられていた集合時刻に間に合ったので、これでなんとかスタジオに入れてもらうことはできそうだ。
しばらく待って(と言っても結構な待ち時間の後)、エレベーターでスタジオに通される。クイズ番組の収録スタジオを訪れるのは初めてではないが、思っていたほど広くなくて威圧感も少ない。そして周りを見渡して知ったが、以前はあったはずの巨大なパネルのスクリーンがない。なるほど、オンエアーを注意深く見ていると気が付くけれど、たしかにパネルボードが映っていなかったわけだ。応援席は解答者席のすぐ横にちょっとだけ設けられている。応援スペースは10人くらいしか入る場所がなくて、こんな小ぢんまりとした場所だとは知らなかった。
やがて司会者と問題を読むアナウンサーがやってきてリハーサルが始まる。あまり正確な記憶はないが、リハーサルのやり方は以前とそれほど変わっていないように思った。あらかじめ用意されたパネルの盤面を見て、順番にクイズに答えてパネルを埋めていく。リハーサルの最後の問題が司会者のプライベートに関わる問題という点も変わっていないように感じた。そして本番の収録が始まった。
本番になると、最初の問題から青の親子が快調に正解を重ねる。子どもだけ答える問題で白が正解してパネルを増やしたが、その後も青の正解数が多い。数字を答えましょうの問題で緑が枚数を増やしたあと、続く問題で青が正解して角を争う展開となる。その次の問題は新幹線の駅をすべて答える問題で、白が解答権を得たもののうまく正解することができず、その直後にボタンを押した赤が5つの駅をすべて正解して21番の角に入る。やがて赤は24番に入って下に赤のラインを作り、優位な展開になった。
続いて1番の角を争う展開となり、二択の問題に正解した白が1番の角に入る。白はその後連続して正解し、4番、20番と入ってパネルの枚数を増やした。と同時に25番の角を巡る展開となり、緑、そして青が、25番の角に入れる状況となる。緑と青だけでなく白も角に入れる場面で出題されたクレヨンしんちゃんの問題で、青が勘のいい答えで秋田県と正解して待望の25番の角に入る。その後、2枚のパネルが埋まって残りパネル枚数が5枚となり、それぞれにトップ賞の可能性を残す状況でアタックチャンスを迎えた。
この状況で、赤は正解したら9番を埋めて、空けるパネルは考え方にもよるが11番か3番だろう。リードしている青を直接的に減らすのなら11番だが、連続して答えることが可能なら3番のほうが枚数を増やすことができそうだ。緑は埋めるパネルは16番で、空けるパネルは25番。緑は25番に入ったあと、さらに5番に入ることができれば、左側のパネルが残っているので勝負になる。白は16番を埋めて、空けるパネルは20番。青は9番に入り、空けるパネルは21番だろう。下の一列の赤をすべて青にしてしまえば大きく勝利に近づく。各組のひそひそトーク(アタックチャンスの作戦)をそれぞれ収録し、しばしのインターブレイクのあと、それぞれに思惑があるなかでアタックチャンスがはじまる。
アタックチャンスの問題は難易度が比較的高めの問題が出題されることが多いのだが、“宮沢賢治の注文の多い料理店で~”の問題で、赤がいち早く解答権を獲得して山猫軒と答える。うー、こんなベタな問題がアタックチャンスで出題されるとは予想外だった。赤は埋めるパネルは9番しかなく、9番を指定して枚数を7枚に増やし、アタックチャンスの狙い目は?と司会者に聞かれる。しばしの逡巡の後、赤は11番とコール。これで青が1枚減ってパネルは6枚となり、赤が逆転してリードする展開となって残り5問の勝負となる。
もつれた展開になればなるほどアタックチャンスの次の問題が重要となるものだが、次は俳優を答える問題で、杏と正解したのは青。青は7番を埋めてパネルを一気に5枚増やして11枚とし、再逆転してリードを奪った。しかし残りのパネルが右上と左下のため、まだ勝負の行方は見えてこない。次は三択の問題で、あれっ?という雰囲気の中で白が正解し、アタックチャンスの狙い目だった11番を埋める。6番と7番が白に変わり、パネルを7枚として追い上げた。
その次は鉛筆のアルファベットの問題で、4組全員が一斉にボタンを押したが、いち早く解答権を獲得したのは白。これに正解した白は16番を埋め、青のパネルを2枚白に変えて10枚として逆転する。残りのパネルは2枚だが、残りの2問とも青が正解した場合にだけ、青は同点決勝に持ち込める。それ以外はすべて白の勝ちとなるため、ここまでゲームをリードしてきた青は後がなくなり、最終盤にきて形勢が逆転して白が圧倒的に有利になった。
次の問題は子ども向けのアンパンマンの問題だったが、後のない青が執念で正解して5番の角を埋め、1枚差に迫る。手に汗を握る展開となって最後の問題となり、続くファッションの問題で解答権を取ったのも青。ティファニーと正解して17番のパネルを埋め、白と青が10枚ずつとなり、勝負の行方は同点決勝に持ち越されることになった。
ここでいったんカメラが止まり、同点決勝の準備がおこなわれる。司会者によると親子ペア大会で同点決勝になったことは過去にあまりないらしい。スタッフが同点決勝の問題を選び、司会者がルールを簡単に説明したあと、勝負を決める問題が読まれる。みんなが固唾を飲むなかで同点決勝の問題が出題され、四字熟語の問題の解答権を獲得したのは白。臥薪嘗胆と答えて正解し、長い激闘の末、この日のトップ賞は白に決まった。赤の空けたアタックチャンスのパネルに入ることのできた幸運の後押しと、アタックチャンス以降の勝負所で連続正解したことが白の勝因だろう。
その後のフィルム問題は伊能忠敬だったが、開いたパネルが左に偏っていたため非常に見えづらく、白の親子は正解することができなかった。いささか残念な幕切れとなったが、最後の一問まで勝負のもつれる展開で白熱した勝負になったので、見ている側はおもしろいオンエアーだったと思う。
最後になりましたが、司会者の方、問題を読んでくれたアナウンサーの方、そしてすべてのスタッフの方と解答者の皆さんにおかれましては、大変にお疲れさまでした。予定を大幅にオーバーして2時間半以上もかかる収録となり、二本目の収録で待機していた高校生諸兄には少し迷惑がかかりましたが、わたしはスタジオで楽しませていただきました。人生でめったにない経験をする場をいただいたことを、心より御礼申し上げます。
もともとは選手権大会の準々決勝を見に行く予定にしていたが、思わぬ話が舞い込んできたため急きょ予定を変更することになった。そんなわけで大会も佳境に入った第12日の朝、新幹線に乗り込み甲子園球場ではなく東京へと向かうことにした。出かけるときは物凄い雨でどうなるかと思ったが、車で近くの駅にたどり着いて駐車場に車を止めることができて胸をなでおろす。新幹線に乗っている間もずっと雨が降っていて(わたしはほとんど寝ていたが)、3時間余りかけて到着した東京でも小雨が降っていた。地下鉄に乗り換え、最寄り駅からは少し歩いてスタジオへ。
そんなこんなでやってきた某BS局は、思っていたほど大きな社屋ではなかった。以前にこの番組を制作、放送していた大阪のテレビ局は巨大な建物で、それと同じようなものをイメージしていたので少し意外に感じる。この日の収録は、小学生親子ペア大会。あらかじめ伝えられていた集合時刻に間に合ったので、これでなんとかスタジオに入れてもらうことはできそうだ。
しばらく待って(と言っても結構な待ち時間の後)、エレベーターでスタジオに通される。クイズ番組の収録スタジオを訪れるのは初めてではないが、思っていたほど広くなくて威圧感も少ない。そして周りを見渡して知ったが、以前はあったはずの巨大なパネルのスクリーンがない。なるほど、オンエアーを注意深く見ていると気が付くけれど、たしかにパネルボードが映っていなかったわけだ。応援席は解答者席のすぐ横にちょっとだけ設けられている。応援スペースは10人くらいしか入る場所がなくて、こんな小ぢんまりとした場所だとは知らなかった。
やがて司会者と問題を読むアナウンサーがやってきてリハーサルが始まる。あまり正確な記憶はないが、リハーサルのやり方は以前とそれほど変わっていないように思った。あらかじめ用意されたパネルの盤面を見て、順番にクイズに答えてパネルを埋めていく。リハーサルの最後の問題が司会者のプライベートに関わる問題という点も変わっていないように感じた。そして本番の収録が始まった。
本番になると、最初の問題から青の親子が快調に正解を重ねる。子どもだけ答える問題で白が正解してパネルを増やしたが、その後も青の正解数が多い。数字を答えましょうの問題で緑が枚数を増やしたあと、続く問題で青が正解して角を争う展開となる。その次の問題は新幹線の駅をすべて答える問題で、白が解答権を得たもののうまく正解することができず、その直後にボタンを押した赤が5つの駅をすべて正解して21番の角に入る。やがて赤は24番に入って下に赤のラインを作り、優位な展開になった。
続いて1番の角を争う展開となり、二択の問題に正解した白が1番の角に入る。白はその後連続して正解し、4番、20番と入ってパネルの枚数を増やした。と同時に25番の角を巡る展開となり、緑、そして青が、25番の角に入れる状況となる。緑と青だけでなく白も角に入れる場面で出題されたクレヨンしんちゃんの問題で、青が勘のいい答えで秋田県と正解して待望の25番の角に入る。その後、2枚のパネルが埋まって残りパネル枚数が5枚となり、それぞれにトップ賞の可能性を残す状況でアタックチャンスを迎えた。
この状況で、赤は正解したら9番を埋めて、空けるパネルは考え方にもよるが11番か3番だろう。リードしている青を直接的に減らすのなら11番だが、連続して答えることが可能なら3番のほうが枚数を増やすことができそうだ。緑は埋めるパネルは16番で、空けるパネルは25番。緑は25番に入ったあと、さらに5番に入ることができれば、左側のパネルが残っているので勝負になる。白は16番を埋めて、空けるパネルは20番。青は9番に入り、空けるパネルは21番だろう。下の一列の赤をすべて青にしてしまえば大きく勝利に近づく。各組のひそひそトーク(アタックチャンスの作戦)をそれぞれ収録し、しばしのインターブレイクのあと、それぞれに思惑があるなかでアタックチャンスがはじまる。
アタックチャンスの問題は難易度が比較的高めの問題が出題されることが多いのだが、“宮沢賢治の注文の多い料理店で~”の問題で、赤がいち早く解答権を獲得して山猫軒と答える。うー、こんなベタな問題がアタックチャンスで出題されるとは予想外だった。赤は埋めるパネルは9番しかなく、9番を指定して枚数を7枚に増やし、アタックチャンスの狙い目は?と司会者に聞かれる。しばしの逡巡の後、赤は11番とコール。これで青が1枚減ってパネルは6枚となり、赤が逆転してリードする展開となって残り5問の勝負となる。
もつれた展開になればなるほどアタックチャンスの次の問題が重要となるものだが、次は俳優を答える問題で、杏と正解したのは青。青は7番を埋めてパネルを一気に5枚増やして11枚とし、再逆転してリードを奪った。しかし残りのパネルが右上と左下のため、まだ勝負の行方は見えてこない。次は三択の問題で、あれっ?という雰囲気の中で白が正解し、アタックチャンスの狙い目だった11番を埋める。6番と7番が白に変わり、パネルを7枚として追い上げた。
その次は鉛筆のアルファベットの問題で、4組全員が一斉にボタンを押したが、いち早く解答権を獲得したのは白。これに正解した白は16番を埋め、青のパネルを2枚白に変えて10枚として逆転する。残りのパネルは2枚だが、残りの2問とも青が正解した場合にだけ、青は同点決勝に持ち込める。それ以外はすべて白の勝ちとなるため、ここまでゲームをリードしてきた青は後がなくなり、最終盤にきて形勢が逆転して白が圧倒的に有利になった。
次の問題は子ども向けのアンパンマンの問題だったが、後のない青が執念で正解して5番の角を埋め、1枚差に迫る。手に汗を握る展開となって最後の問題となり、続くファッションの問題で解答権を取ったのも青。ティファニーと正解して17番のパネルを埋め、白と青が10枚ずつとなり、勝負の行方は同点決勝に持ち越されることになった。
ここでいったんカメラが止まり、同点決勝の準備がおこなわれる。司会者によると親子ペア大会で同点決勝になったことは過去にあまりないらしい。スタッフが同点決勝の問題を選び、司会者がルールを簡単に説明したあと、勝負を決める問題が読まれる。みんなが固唾を飲むなかで同点決勝の問題が出題され、四字熟語の問題の解答権を獲得したのは白。臥薪嘗胆と答えて正解し、長い激闘の末、この日のトップ賞は白に決まった。赤の空けたアタックチャンスのパネルに入ることのできた幸運の後押しと、アタックチャンス以降の勝負所で連続正解したことが白の勝因だろう。
その後のフィルム問題は伊能忠敬だったが、開いたパネルが左に偏っていたため非常に見えづらく、白の親子は正解することができなかった。いささか残念な幕切れとなったが、最後の一問まで勝負のもつれる展開で白熱した勝負になったので、見ている側はおもしろいオンエアーだったと思う。
最後になりましたが、司会者の方、問題を読んでくれたアナウンサーの方、そしてすべてのスタッフの方と解答者の皆さんにおかれましては、大変にお疲れさまでした。予定を大幅にオーバーして2時間半以上もかかる収録となり、二本目の収録で待機していた高校生諸兄には少し迷惑がかかりましたが、わたしはスタジオで楽しませていただきました。人生でめったにない経験をする場をいただいたことを、心より御礼申し上げます。