高校野球観戦日記

高校野球を見たときことをつづります。 このブログはおもに毎年春と夏に更新しています。テレビに映らないプレーを見るのが宗旨です。

2007/04

常葉菊川の優勝に思うこと

今年の選抜高校野球大会は、常葉菊川の優勝で幕を閉じた。今年の大会から低反発球が導入され、本塁打が減ったことは間違いない。外野のフェンス手前で打球が失速するシーンを何度も目にしたからだ。そのせいか僅差の試合が多くなり、送りバントやスクイズが多かったように感じた。1点の重みが大きくなり、守備の重要性も増しただろう。守備力を評価されて選ばれる希望枠の大垣日大が決勝戦まで勝ち進んだことが、今年の大会は守備が重要だったことを証明している。私は希望枠のような守備力を考慮する選考方法についてずっと反対の立場を取っているが、大垣日大の躍進がそれをくつがえしたと思っている(だからと言って来年以降希望枠を肯定するわけではないが)。

にもかかわらず、優勝した常葉菊川は5試合で犠打は1つだけだったとか。優勝したチームが犠打(要するにバント)を使わないチームだった事実は、今後の高校野球の行く末を暗示していると思う。どんなに低反発球を導入したところで、現代高校野球はつまるところ打力の勝負なのだ。私が見た常葉菊川の試合でも、無死一塁の場面ではすべて強攻策だった。アウトをひとつ進呈して塁を進める行為は、もはや時代遅れなのだ。高校時代に2番打者だった常葉菊川の監督さんは、3年前の済美の優勝に衝撃を受けたとか。常葉菊川はバント練習はしないのだそうな。

そんなわけで今年の夏は、打力で打ち勝つ野球と少ない得点で守り勝つ野球とでは、どちらが最後に勝者となるのであろうか。夏の選手権に向けて今年は全国各地でどのような野球が展開されていくのか、例年以上に興味深い年となりそうである。


準々決勝・関西v大垣日大

初回に大垣日が無死一塁からの三塁打などで一気に3点を先制して試合の主導権を握った。打力では関西が勝ると思っていたが、後手に回ったせいか併殺などが多くて打線がつながらなかった。関西としては、できればスコアが3-0の段階で先に1点でも返しておきたいところだった。大垣日の5回表の攻撃は、バントを失敗したあとで強攻して得点につながるなどややつきがあったが、関西の守備にもまずいプレーがあったように思う。最終的には9-1と大差がついたが、それほど両者の力に差はなかった。この2年ほど、私が現場に来ると必ず関西は負けるのは、単なる巡り合わせなのだろうか。



準々決勝・帝京v広陵

帝京が初回に2本の本塁打などで挙げた6点が、試合の流れの上で非常に大きかった。広陵は中盤以降、投手が立ち直っただけに、序盤の大量失点が痛かった。中盤以降に広陵は好機を何度か作ったが、あと一本が出なかった。結果的にスコアは7-1となったが点差ほどに力に差はなく、やや惜しまれる試合。1回表の失点を2点でしのいでおけば、好勝負必至だったはずだ。そう考えると、初回の満塁本塁打が試合を決めたと言えよう。


準々決勝・熊本工v室戸

3回表に室戸が1点を先制したが、その裏に熊本工は1安打で一挙4点を挙げて逆転。7回裏にも1点を追加し、9回表の室戸の反撃を2点にしのいで5-3で逃げ切った。室戸は3回裏だけ投手が制球を乱したことが悔やまれる。原因ははっきりしている。一塁牽制球の投げすぎで、体が開くとかそのたぐいの投球フォームに乱れをきたしたことだろう。試合のポイントは3回表、室戸の先制点が入った二死二三塁の場面だ。左前安打が出た時に二塁走者の2点目の生還を防いだことで、試合の流れが室戸に傾かなかった。走者二塁の時の熊本工二遊間の走者を牽制する動きは細かくて、このあたりも2点目を防ぐことにつながったと思う。ただ、室戸は応援団が大挙して三塁アルプススタンドに集結しており、その声は一塁側の内野席に反響していた。まるで関大一高か去年の八重山商工の応援のようだった。


準々決勝・大阪桐蔭v常葉菊川

ある程度の予想どおり、1点を争う投手戦になった。先制したのは大桐蔭だったが菊川も終盤に追い上げ、9回表二死一二塁から8番の左線二塁打で1点を勝ち越して2-1とし、そのまま逃げ切った。大桐蔭にも終盤に勝ち越す好機はあったが、中軸にあと一本が出なかった。両投手ともよく投げただけに、大桐蔭はもう少し打線の援護が欲しかったところだ。序盤で失敗したランニングスクイズが成功していれば、試合の流れは大桐蔭に傾いていたと思う。外野席から見ていても、試合の終盤には大桐蔭#1もさすがに疲労の色が見え隠れしていたように感じた。


ギャラリー
  • 高田高校選手諸兄のご活躍をお祈りいたします
記事検索
にほんブログ村
RSS
  • ライブドアブログ
  翻译: