ワンピースに息づく生身の母娘 学芸員「同世代の私が」

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宮崎園子
【動画】ワンピースが教えてくれたこと 人間の姿を伝える学芸員の「原点」=上田幸一撮影
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モノ語る【2】

背中部分が焼け落ちたワンピース。原爆の犠牲となった21歳の女性のものだ。その遺品との出会いを原点に、モノに息づく人間の姿を伝えようとする人がいる。

 大まかな分類は、最初の数字で示す。「1」は家庭用品。「2」は台所用品。「3」なら衣類……。

 ここは広島平和記念資料館広島市中区)の地下収蔵庫。23年前、23歳の学芸員だった佐藤規代美さんは遺品を取り出しては、計8桁の識別コードを振っていた。そんな作業の中、ある遺品に「3103―0005」というコードを振る。

当時の「同世代」がおしゃれなんて

 「節子のやけのこり(焼け残り)」と書かれた、赤いバラをあしらった百貨店の包装紙。それを開くと、中には背中部分が焼け落ちた薄手のワンピースが、半身だけ残ったモンペの上着とともにあった。

 資料を読むと、持ち主は21歳で原爆の犠牲になった小川節子さん。「モンペの下に、ワンピースを着てたんだ……」。節子さんとほぼ「同世代」。でも当時の女性はおしゃれなんてしないと思っていた。そして包装紙には、こんな文字も。

 「リツのかん(棺)に入れて…

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