泥酔で急カーブ「やべえ」 死のドライブ、消えた叫び声

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小松万希子
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きょうも傍聴席にいます

 久しぶりに会った親友と、もっと長く一緒にいたい――。被告の男(23)は居酒屋で飲んだ後、同級生の男性(当時22)と夜の山へドライブに繰り出した。「酒飲んでても普通に走れるよね」。2人で笑い、歌い、スピードを加速させた45分後、車は急カーブに突っ込んだ。ドライブレコーダーに残された、友の最後の言葉は。

    ◇

 起訴状などによると、被告は2019年5月19日午後11時半ごろ、愛知県豊田市内の国道で酒気帯びのままレジャー用多目的車(RV)を運転し、同乗していた男性を死亡させたとして、自動車運転死傷処罰法違反(危険運転致死)と道路交通法違反(酒気帯び運転)の罪に問われた。

 被告の職業は航海士。勤務する船が名古屋港に寄港したため、事件前は実家で過ごしていた。19日は船に戻る予定だったが、海上のしけで急きょ延期になり、突然の休暇となった。被告は迷わず、男性に連絡した。

 男性とは高校1年のとき知り合った。釣りが共通の趣味で、働き始めてからもよく一緒に出かけていた。互いの家族も面識があり、被告の母親は被告から「親友という言葉では言い表せないほど大好き」などと聞かされていた。

 2人は昼すぎに落ち合った。洗車や釣り、買い物を済ませた後、家から徒歩圏内の居酒屋に車で向かった。店では大ジョッキのビールを2杯ずつ飲みながら、「どちらが先に結婚できるか」といった将来の話に花を咲かせた。店を出たあとも、コンビニで缶ビールを買って飲んだ。被告が車に給油していないことを思い出した。「ガソリン入れに行こう」。男性を助手席に乗せて600メートルほど離れたガソリンスタンドへ向かった。午後10時40分ごろのことだ。

 弁護人「なぜ酒を飲んだ状態で運転してしまったのか」

 被告「彼(亡くなった男性の名前)と離れがたく、もう少し一緒にいたい気持ちでした」

 実は、被告は過去にも2度、飲酒運転をしたことがあった。いずれも、この男性が同乗していた。「ばれなければいい」。そんな認識だったという。

 この日、被告は給油を終えた…

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