新型肺炎、ぜんそく薬で改善例 有効な治療法の可能性
新型コロナウイルスが引き起こす肺炎について、神奈川県立足柄上病院などのチームは、患者3人にぜんそくの吸入薬を使ったところ、症状が改善したとの報告書を公表した。治療に使える可能性があり、今後、ほかの医療機関の使用例を集めて調べる。
3人はいずれも大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の乗客。70代女性は感染が確認された後、2月11日に入院した。全身のだるさからほぼ寝た状態で、入院4日目からは中国などで使用例があった抗エイズウイルス(HIV)薬が使われた。肺炎が改善せず、副作用とみられる下痢や食欲不振なども出たため、9日目に抗HIV薬の使用を中止した。
10日目からぜんそくに使う吸入ステロイド薬「シクレソニド」を使い始めたところ、11日目から熱が下がり、12日目には病室内を歩けるように。肺の炎症が改善し、入院15、16日目のウイルス検査で陰性が確認され、18日目に退院した。
70代男性と60代女性は2月16日に入院。シクレソニドのみを入院5日目から使用。2人とも酸素投与を受けていたが不要となり、食事も全て食べられるほど回復した。2人は入院12日目の2月27日時点でウイルス検査が陽性で、報告書では治療継続となっている。
報告書では、シクレソニドについて「重症肺炎への進展防止効果が期待される」と評価。有害な副作用はみられていないという。今後、愛知医科大などと協力し、有効な治療法になるかどうか調べる。
足柄上病院の岩渕敬介医師は朝日新聞の取材に、「肺炎を起こしている患者には、症状を短期化するための第一選択となり得る。だが、かぜ程度の軽症者であれば、耐性ウイルスを増やす可能性があり、安易な投与は避けるべきだ」と説明した。
■「市中感染」の症例も公表…
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