学校や職場での人間関係がきっかけになることがあるひきこもり。長期化すると、親子で孤立化することもある。ひきこもりから10年にわたって精神科病院の入退院を繰り返したあと、大学に合格し、今は電気工事会社で正社員として働く男性が、自らの病気を受け入れ、立ち直るまでの経験を語った。
「同級生と同じように振る舞えないことに気づいた。それがコンプレックスになって、あまり人と話をしなくなった」
中学生時代をこう振り返る小山公一郎さん(43)=さいたま市南区。学校では目立たない生徒だったが、家庭では主に母と弟に暴力を振るうようになった。子どものころは親の言うことをよく聞く子だった。しかし、次第に「親に反発して、どうにかして困らせてやりたいと考えるようになった」という。
高校に入ると、「何をしに学校に来ているのかわからない」と感じるようになり、遅刻から始まり、休む日も徐々に増えた。3年生になる時に留年して、退学した。
20歳を過ぎたころからは、家族と別居するように。食事は親からもらう生活費で買ったコンビニ弁当など。最初は「楽しい」と感じたこともあったが、だんだん友達からの誘いもなくなり、外に出ることも怖くなった。昼夜が逆転し、夢なのか現実なのかがわからない妄想が始まった。
「テレビの出演者が自分のことを話しているように感じたり、遠い未来のことが見えているように感じたりした」。幻聴や妄想の症状が現れ始めた。
1997年6月、高校を中退して3年がたったある日のことだ。
風呂にも入らず、髪も腰まで伸びきっていたころ、ひきこもっていた自室に男性2人が突然入ってきた。羽交い締めにされ、家の外に連れ出された。
「抵抗しましたが、慣れてい…
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