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第10回口閉ざすエビ売りの女性 武漢で最初の一人を探した

有料記事コロナの時代

武漢=平井良和 宮嶋加菜子
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 人類が半年前に知ったばかりのウイルスは、世界の1千万人以上に感染し、50万人を超える犠牲者を出している。災禍はどう始まり、どう広がっていったのか。連載「コロナの時代」の新たなシリーズは「パンデミックの序章」。感染の拡大が始まった中国・武漢を歩き、謎のウイルスの存在を捉えるまでの道筋や、ヒトヒト感染の認定に二の足を踏んだ中国の初期対応を検証する。

年末のかきいれ時、喧騒の中の「異変」

 湖北省武漢市の都市封鎖が解け、間もなく3カ月になる。魏、呉、蜀の三国時代をはじめ中国史の舞台となってきた長江中流域の1千万都市は、ようやく活気を取り戻そうとしている。

 中心部の大通りにも絶え間なく車が行き交うが、漢口駅近くの道の両側には約200メートルに及ぶ青いバリケードが残る。隙間からのぞく看板はほこりまみれで、その下に「魚」や「蟹(かに)」といった字が読み取れる。

 半年前に閉鎖されるまで、ここに華南海鮮卸売市場があった。5万平方メートルの敷地に魚介、干物、食肉などを売る店が千軒以上ひしめく巨大市場だった。世界をのみこんだ新型コロナウイルスの最初の集団感染は、ここで発生した。

 昨年12月31日、市当局は初めて「原因不明の肺炎患者が27人いる」と発表。その多くが市場の関係者だとした。リストを入手したという中国メディアは、一番早い発症は50代女性の12月11日だったと伝えていた。

 新型ウイルスはどこから来たのか。最初の感染者だったかもしれないその女性を探した。

「最初の感染者」を探して、記者は現場を訪ね歩きました。取材を進めると、どのように感染が広がっていったのか、少しずつわかってきました。

 市場周辺の住民から市場で働…

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この記事を書いた人
平井良和
ネットワーク報道本部次長
専門・関心分野
地震災害、中国社会、中国残留日本人孤児、気候変動、生物多様性、社会教育
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