「ママ大好きだよ」口癖だった息子は炎に 神宮外苑火災

有料記事

新屋絵理
[PR]

 「ママ大好きだよ、ずっと一緒にいようね」。息子は口癖のように言っていた――。東京・明治神宮外苑のイベント会場で2016年、木製ジャングルジム形の展示物が燃えた火災で亡くなった男児(当時5)の両親が2日、東京地裁であった刑事裁判で、男児との思い出や遺族心情などを訴えた。男児を助け出そうとして自らも重度のやけどを負った父親は「息子の最後の顔と炎が脳裏に焼き付き離れない」と話した。

 この日は、重過失致死傷罪に問われた元大学生2人に対する論告求刑も行われ、検察側は「投光器を展示物内に設置して放置した。火災は予測でき、過失は重大だ」として禁錮1年を求刑した。両親の代理人弁護士は「苦しい日々を過ごす遺族に、被告からは謝罪もなかった」と指摘。被告らは「火災を予測できなかった」と無罪を主張している。

 両親が法廷で述べた内容の要旨は以下のとおり。

男児の父 「助けられたのではないかと自問自答」

 息子が火災で犠牲となり、4年半が経とうとしています。今日まで本当に長く辛い時間でした。

 息子は2011年7月、東京都中央区の病院で生まれました。元気でよく泣く男の子でした。初めての育児で戸惑うこともありましたが、大きな病気もせずすくすくと育ち、2歳のころにはよく笑うおしゃべりな子になりました。

 幼稚園に入ってからはお友達、先生、給食、発表会…、色々な話をしていました。何でも前向きにとらえる明るい息子には、私たちのほうが励まされることも多かったように思います。夏休みにはキャンプで初めてのお泊まりをし、運動会ではお弁当をたくさん食べ、お遊戯会では楽しそうに踊っていました。

 火災当日も朝ごはんをたくさ…

この記事は有料記事です。残り1339文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
新屋絵理
国際報道部
専門・関心分野
フランス、国際情勢、裁判、人権