受験する君へ AKB48・黒須遥香さん
高校1年の時にAKB48のオーディションに合格しました。通っていた高校は、みんな大学進学を目指していたので、自然と私も大学を受験しようと思いました。
漠然と、国立大学を志願していました。私立は教科を絞って勉強できるのですが、私の場合は教科を絞るという勇気がなく「全部の教科をやりたい」と思いました。
受験生となった高校3年も、アイドルの活動が忙しく、なかなか自宅で勉強する時間をつくれませんでした。学校が終わると急いで公演する劇場へ向かい、公演が終わったら疲れて寝てしまう日もありました。公演がない日は放課後に図書室やカフェに行って勉強をするという日々でした。
センター試験(当時)が迫る12月、受験勉強に専念するか、年明けのコンサートに出演するか、とても悩みました。私の中では「どっちも頑張りたい」という気持ちがあり、葛藤しました。マネジャーと相談し、コンサートは休んで、勉強に時間を割くことにしました。
勉強不足を痛感していて、模試では最も合格から遠いE判定。第1志望の国立大学は受からないかもしれないという危機感がありました。センター試験でも手応えがなく、泣きそうになりながら帰宅したのを覚えています。結果は、前期、後期ともに不合格でした。
試験のためにアイドル活動も約2カ月休み、待ってくれているファンの方に対してもふがいない結果になってしまいました。志望していた国立大学には届かなかったという結果を受け入れ、合格した私立大学に進学することに決めました。
私立大学の入学間近、マネジャーが「浪人してでも、目指したところに行って欲しかったな」と言葉をかけてくれました。その時に「やっぱりまだ悔いが残っている」と実感しました。浪人をして、国立大学を再び目指すことに決めました。私立大学の入学式の3日前のことでした。入学は辞退し、もう1年アイドルと受験勉強の二足のわらじを履くことにしました。
浪人してからも、どちらも手を抜きたくないと思い、アイドルと勉強は半分ずつの割合で両立させました。予備校には通わず、オンラインで映像を見ながら授業を受けました。活動がない日は一日中机に向かい、午後から公演がある時は午前中に勉強していました。時間がない分、勉強に集中でき、アイドルの活動をする時間が私にとってリフレッシュになっていたと思います。
一日の勉強するスケジュールを1時間単位で割り振り、自分の中で「時間割」をつくりました。私は食事の時に苦手なものは先に食べるタイプです。勉強でも、苦手な数学は朝一番にやり、大好きな日本史はご褒美として一日の最後に取り組みました。
英語の単語を覚えるのが得意ではなかったので、語呂合わせで単語を覚えたり、問題集を繰り返したりして時間を割きました。生物の勉強では、自分で図や解説を書き込んだノートを作り、暗記すべきことを1冊にまとめ上げました。
家族のサポートも大きかったですね。勉強とアイドル活動に集中できるよう支えてくれました。家に帰ったら勉強のことだけを考えるようにして、行き詰まった時には、母と話すことで息抜きをしていました。
勉強の成果が徐々に表れるようになり、模試ではB判定が出るようになりました。高校生の時は、きちんと理解できていなかった基礎的な部分を映像授業で振り返ったことで、すごく点数が伸びました。そうすると、解ける問題が増えて楽しくなり、10時間以上勉強した日もあります。苦手だと思っていた教科でも、楽しく解けるようになっていきました。
12月にコンサートがあり、出演するかどうかすごく悩みました。2度目の受験で「絶対に受からないといけない」というプレッシャーもある一方で、応援してくれているファンの方々の期待に応えたいという思いもありました。
どちらを選んでも後悔するかもしれない。そう考える中で「自分が勉強を頑張ればなんとかなる」と思い、出演を決めました。このコンサートは今でも思い出す素晴らしい公演ですし、出演したことに後悔はありませんでした。
模試の時には、食事を工夫していました。母が作ってくれたお弁当を食べたり、おにぎりを食べたりしていましたが、おなかがふくれると眠気で集中できなくなることがあったので、試験本番では片手で飲めるゼリーとチョコレートで済ませるようにしました。
1月からは活動をセーブしてセンター試験に臨みました。今までの模試と比べて最も良い点数が取れ、予想以上の結果となりました。2次試験はすごく緊張しましたが、全部埋めることができ、達成感がありました。
「浪人をしてよかった」
結果は、志望していた国立大…
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