「コロナ患者は診ない」1000人受け持つ在宅医、最期を看取るため

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後藤一也
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 埼玉県ふじみ野市の立てこもり事件で亡くなったのは、容疑者の母を看取(みと)った訪問診療の医師だった。東京都江戸川区の「しろひげ在宅診療所」の院長、山中光茂さん(46)は看取りを含め、最も病状が重い患者の診療に力を入れるからこそ、「新型コロナの患者は診ない」という。どういうことなのか。山中さんの診療に同行した。

 「末期がんの方が息が苦しいということで往診に行きました。おそらく、きょうあすにお亡くなりになるかもしれません」

 「足が痛いということで、着いたときにはおしっこまみれで……。家族からは介護が大変ということも聞きました」

 1月のある朝の全体報告の様子だ。

 自宅での看取りのほか、精神疾患がある患者やその家族の対応、入院の手配、末期がんの患者の痛みのコントロール、自宅で突然死して警察対応……。様々なケースに応じたことが共有された。

 看護師からはこんな報告もあった。「ご家族から『なぜ入院させてくれなかった』というお叱りの言葉もありました」

セクハラに加え、苦情はしょっちゅう

 「セクハラや言葉のハラスメントはしょっちゅうです。お金のことや処置のこと、いろいろ言われます」と山中さん。

 病院は医療者のホームだが、自宅は患者のホームだ。「自宅だと、良くも悪くも言いやすい環境。だからこそ、患者や家族が本音でつらいことや困ったことを話してくれる」という。

 さっそく1軒目で、その様子を目の当たりにした。

 「おはようございますー」…

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