宝塚歌劇団宙組公演「NEVER SAY GOODBYE」の東京宝塚劇場公演が4月2日に始まります。初演は2006年、元宙組トップスター和央(わお)ようかさんの退団公演でした。当時の思い出や再演への思い、後輩たちへの期待を、和央さんに聞きました。
――初演時はどのようなことを考えながら演じていましたか。
主人公のカメラマン・ジョルジュはスペイン内戦に飛び込んでいきますが、私にとっても当時の日々は、ある意味「戦場」でした。
初日の3カ月前に舞台上の事故で骨盤などを骨折する大けがを負い、完治しないまま臨んだ公演でした。
「今日を無事に終えられるのか」という怖さ。そして宙組の仲間や歌劇団、演出家の小池修一郎先生、ファンの方々の「助けたい」という強い思いに対するありがたさ。人生のなかで、あれほどの恐怖と感謝を抱えて生きた日々はありませんでした。
ジョルジュはクールだけど仲間をみつけて人間的に大きくなり、「明日はないかもしれない」という極限の状況のなかで、写真を撮りながら自分の生きる意味を見いだしていく。状況は違うけれど、彼と自分の状況をリンクさせていました。
――過酷な状況だったのではないでしょうか。
トップスターは、「みんな頑張ろう」と周りを励まさなくてはならない存在です。だから、周りから「大丈夫ですか?」と心配されるのがつらかった。「私は元気」とアピールしていました。
公演期間中は事故の後遺症で、脳脊髄(せきずい)液減少症という病気に悩まされました。
舞台の上で突然立てなくなる…
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