17歳のひとり娘と、1年前に離婚したばかりの50代の父。ぎこちないながらも、気楽な2人暮らしが回り始めたころだった。
当時、高校3年生になったばかりの上原あみさん(21)は、受験勉強に本腰を入れつつ、最後の高校生活を楽しんでいた。
でも一つだけ、気になることがあった。2カ月間も、不正出血が止まらないのだ。
前にも1カ月近く止まらなかったことはあったが、今回は長すぎる。
夜用のナプキンを1時間で3枚も替えるぐらい、出血がひどい日もあった。
5月に入っても、出血は止まらなかった。慶応大学合格をめざし、ゴールデンウィーク中も塾の講習を受けたが、貧血でフラフラだった。
しかも隠していたのに、父の淳さん(57)にばれてしまった。
淳さんが洗濯を担当、あみさんは掃除と料理を担当と、家事を分担していた。
娘の生理用ショーツを1カ月以上干し続けていることを、淳さんはおかしいと思い始めていた。
レシートと引き換えに買い物代金を渡していたが、ナプキンの購入費が尋常ではないことにも気づいていた。
「おかしくないか?」
「不正出血があって、様子を見てる。夏休みになったら病院行くよ」
「そうか」
思春期の娘に、淳さんもあまり強く言えなかった。
出血は止まらなかったが、あみさんはなかなか病院に行かなかった。
受診をためらった最大の理由は、「内診」だった。まだ性交渉の経験もない。
「内診はされないよ」という保健室の先生の言葉を信じ、意を決して婦人科クリニックに行った。
「お父さん、ちょっといいですか」
それなのに、さっそく言われ…
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