第1回「管理職降りたい」家庭崩壊し、女性社員は涙した 上司の答えに失望
A-stories 「昭和98年」の女性登用 管理職はなぜ増えない?
3年前、社内で女性初の副部長となったときは、うれしかった。
40代後半の女性は、2人の子どもを育てながら東京都内のIT企業で働く。副部長に登用されたときは、「会社から期待されている」と思った。
だがそれは幻想だった。
定時後に大事な会議が設定される。女性が会社を出る直前に、翌朝締め切りの仕事を頼まれる。
上司に相談すると「大変なら、仕事量を減らしてあげる」と言われた。
そうではなく、残業しなくても能力を発揮できるようにして欲しいと訴えたが、伝わらなかった。
部下の人数を減らされ、業績も下がった。家に帰ってもつい、仕事のことを考えることが増えた。
自炊の時間が取れず、週の半分以上はコンビニやスーパーで総菜を買って帰った。
掃除もできず、床に物が散らばり、ロボット掃除機が動くことすらできない。
メールにすぐ返信できるように、夜遅くまでスマホをチェックした。子どもから話しかけられても空返事が続き、そのうち、話しかけられることはなくなった。
同じ会社で働く夫の帰宅は、毎晩午前2時過ぎ。
「どんどんぐしゃぐしゃになっていった」
ふたたび上司に相談し、返ってきた言葉にぷつんと糸が切れた。
「事情がある人は管理職にな…