世界的に見ても短いと言われる日本人の睡眠時間。小中高生についても、睡眠不足が指摘されています。数多くの子どもを診察してきた東京都立多摩北部医療センター小児科の小保内俊雅部長に聞くと、睡眠不足の原因はスマホだけではないようです。治療のポイントも聞きました。
――朝起きられなかったり、夜眠れなかったりして受診してくる子どもは多いのでしょうか。
外来で、「頭が痛いから起きられない」「おなかが痛いからベッドから出られない」といった体調不良を訴えて受診してくる子は多いのですが、「起きられない」「眠れない」という部分を主に訴えてくるケースはまれです。
このため、睡眠障害は見逃されがちです。
睡眠障害の3パターン
――どんな子が睡眠障害と診断されるのですか?
大きく分けて三つあります。
①塾や部活で睡眠時間が短くなっている
②ゲームなど電子機器の使いすぎで睡眠不足になっている
③ふとしたきっかけで学校に行きにくくなり、朝いつもの時間に起きられなくなって悪循環にはまってしまう
です。
――なんとなく、②のような、夜遅くまでスマホを開いていて寝不足になってしまうというイメージがありました。
それもありますが、背景はさらに根深いと思います。
私は2000~04年に小中学生の息子たちとドイツへ仕事で行っていましたが、補習も含めて午後3時には学校が終わり、先生たちも帰っていました。夜遅くまで受験勉強をしている同級生もいませんでした。
日本の10代には、塾で夜遅くまで受験勉強をしたり、部活でスポーツや楽器を遅くまで練習したりといった「授業外にやらなければいけないこと」が多すぎるのではないでしょうか。それが①につながっています。
そうした現状の中で、いわゆる「帰宅部」の子が目標を持ちにくくなり、②のような状態に、より陥りやすいとも感じます。
いずれも、医療の力だけでは解決できない、社会の問題でもあります。各家庭の生活時間帯に遅寝の傾向があることも要因だと思います。
――③の、ふとしたきっかけで朝起きられなくなるという子も一定数、いるのですか。
少なくありません。例えばインフルエンザなどで3日ほど学校を休んだ後、なんとなく学校に行きたくなくなるような経験、ありませんか?
――あります。
そうですよね。多くの人に経験があると思います。ふとしたきっかけで睡眠リズムが崩れてしまうことは、誰にでも起きうることなのです。
――治療法は。
①②③とも同じです。原因や…
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- 【視点】
睡眠時間が足りていないと、大人でも仕事などの効率が落ちるだけでなく、メンタルにも影響が出たりと、様々な問題が起きます。 様々な形でつまづいたり、悩みを抱えたりしてしまう子どもたちについて、「何が原因だったか」という観点で分析されること
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