渡辺明名人（38）に藤井聡太竜王（20）=王位・叡王・棋王・王将・棋聖と合わせ六冠=が挑戦する第81期将棋名人戦七番勝負（朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛）が5日、東京都文京区で開幕する。渡辺名人には4連覇が、藤井竜王にとっては史上最年少での名人獲得と史上2人目の七冠がかかるシリーズ。戦いを控えた藤井竜王が朝日新聞の取材に応じ、名人戦への抱負や現在の将棋観、盤外の話題などを語り尽くした。

　――初めての名人挑戦です。今の気持ちは。

　「自分が四段に昇段して今年で7年ですけど、順位戦を少しずつ上がってきて名人戦の舞台に立つことは非常にうれしいですし、楽しみでもあります」

　――初参加のA級順位戦での挑戦権獲得です。7勝2敗でリーグを終え、挑戦者決定プレーオフで広瀬章人八段に勝利しました。全10局を振り返って。

　「振り返ると大変な将棋が多かったな、と感じています。やはり（前期の）B級1組からレベルが高かったのですが、苦しんだ将棋が多かった分だけ充実感もあります。今期の2回戦の（A級初黒星を喫した）菅井竜也八段戦は中盤でかなり差をつけられ、粘ってもやはり及ばないという一局で、A級のレベルの高さを感じました。プレーオフの広瀬八段との一局も中盤からずっと判断の難しい局面が続く将棋で印象に残っています」

課題はタイムマネジメント

　――渡辺明名人への挑戦です。タイトル戦でも過去4度、対戦を重ねた相手の印象は。

　「渡辺名人の将棋は他の棋士…