「ChatGPT様」という思考停止 AI絶対視に危惧、人の役割は

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聞き手・篠健一郎
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 対話型AI(人工知能)の「ChatGPTチャットGPT)」が2022年11月に登場して半年。その後も複数の生成AIが発表され、AI研究は急速に熱を帯びている。第一人者である東京大の松原仁教授は「鉄腕アトムの世界が近づいてくるかもしれない」と語る。AIはどう進化していくのか、松原教授に聞いた。

 ――人間の能力を10とすると、チャットGPTの能力はどのぐらいと考えますか。

 少し前までのAIは2か3と言っていましたが、チャットGPTは5ぐらいまできたかもしれないと感じます。

 ――その違いはどこにあるのですか。

 技術としては、従来のAIとかけ離れているわけではありません。大量のデータをAIが自ら学んでいく「ディープラーニング」(深層学習)という技術の応用に過ぎないからです。ただ、AIがどれくらいのデータを学習すると、どのくらい賢くなるのかは専門家もよくわかっていませんでした。

 チャットGPTの基盤となる言語モデル「GPT―3」は、AIの規模を示すパラメーターが1750億あり、数十億だった従来のAIから大きく増えました。データの量が質に転化し、一気に賢くなりました。

ロボットに生成AIを載せたら

 ――AIの次なる進化は。

 テキストや画像、音声などを…

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篠健一郎
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データジャーナリズム、プラットフォーマー
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    佐倉統
    (東京大学大学院教授=科学技術社会論)
    2023年7月6日12時38分 投稿
    【視点】

    ロボットにAIを搭載して身体性を合わせ持つとより人間に近い知性が実現できるかもしれないとか、AIが進歩すればするほど人間とは何かを考えさせるとか、ほんとうにそうだと思う。 AIが人間を凌駕するかも⁉と言うときの「人間」とはなんなのか?

    …続きを読む
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    中川文如
    (朝日新聞コンテンツ編成本部次長)
    2023年7月1日7時0分 投稿
    【視点】

    ちょうど20年前、松原仁先生にインタビューさせていただいたことがあります。当時、私は札幌に勤務する街ダネ記者で、松原先生は公立はこだて未来大の教授。AIがこんなにも進化しちゃうなんて1ミリも想像できなかった時代に、「鉄腕アトムをつくりたい」

    …続きを読む
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