国鉄がJRに分割民営化されて36年。国鉄時代から採算が取れないと言われてきた地方ローカル線は、JRに移ったほか、第三セクターの運営で存続したり、廃止してバスに転換されたりと、様々な道を歩みました。残ったところもいま再び、存続させるかの議論が高まっています。
千葉県の第三セクター「いすみ鉄道」で立て直しに取り組み、いまは、北陸新幹線の新潟県内の並行在来線を抱える県の第三セクター「えちごトキめき鉄道」(新潟県上越市)で社長を務める鳥塚亮さん(63)に、地方ローカル線の今後について聞きました。
連載 線路は続くか
ローカル鉄道が廃線の危機を迎えています。線路は続くよ どこまでも――。希望を込めて歌うことはできないのか。現場からの報告です。
――JR東日本や西日本などが、輸送密度が1日2千人未満の地方路線の収支を公表しました。
「『赤字だからやめたいので、地元で金を出してくれたら存続するよ』。JRがそのようなことを言うこと自体、鉄道会社として許されるのでしょうか。そもそも民営化して以来、JR東日本などは33年間連続黒字だった会社です。コロナでたかだか2年赤字になっただけでもうできませんっていうのはおかしい。じゃあ内部留保はどこへ行っているんですか、何が株主還元ですか」
「都会でバリアフリーのために値上げしているのだから、同じように新幹線の特急料金から100円をローカル線にあてればいい。新幹線で出た利益をちゃんとシェアする仕組みをつくって、ローカル鉄道やJR北海道とJR四国に振り分ければいいのではないでしょうか」
「沿線にも『無関心』のつけ」
――とはいえ「年間何億円もの赤字」と言われると、そのような路線を残すのは難しいなと思ってしまいます。
「ただ、JRが言う赤字額の根拠はなんですかと言ってもブラックボックスなんです。鉄道運賃収入しかカウントせず、沿線の広告やグッズ収入も何も入らない。新型車両を投入しておいて、減価償却費で赤字が増えました、なんていうのもおかしい」
「一方で、沿線の側にも問題はあります。国鉄からJRに承継されて存続したところでは、沿線の自治体もJRに任せっきりで、この路線ならいくらぐらいの赤字になるのか、ということすら分かりません」
「だからJRに『何億円赤字…