40年間も悩んだアトピー 「なんだこれ」むけた皮膚から現れたのは

有料記事患者を生きる

鈴木彩子
[PR]

 アトピー性皮膚炎に苦しんできた愛知県春日井市のライジンさん(49)は20代のとき、自由診療で処方される高価な塗り薬による治療と、健康食品を続けていた。

 27歳で学生時代から寄り添ってくれた妻と結婚し、2人の子どもにも恵まれた。子どもたちの肌に湿疹をみつけると、近所の皮膚科に行って早めに薬を塗り、手を当てて願った。

 「早く治りますように」

 やがて、高価な塗り薬へのこだわりがうすれていった。同じような効果で、保険適用される薬があって、近所の皮膚科でもらえる。それならば、自分もその薬を使えばいい、と思うようになった。

 子どもと一緒に皮膚科に通い、ステロイドやタクロリムスの塗り薬で症状をコントロールした。頭皮には、ローションタイプの塗り薬をつかった。

 ただ、寝ている間のかゆみは残り、枕に敷くタオルからはいつも浸出液のにおいがした。相変わらず皮膚の粉が落ちて湯を汚してしまうため、お風呂はいつも家族で一番最後に入った。それでも、幸せな毎日だった。

 異変は、2020年夏に起きた。熱が出て、顔がぱんぱんにはれた。

 新型コロナウイルスの感染を疑い、近所の内科を受診すると、春日井市民病院を紹介された。診断は蜂窩織炎(ほうかしきえん)。頭のひっかききずからばい菌が入り、皮膚の下で炎症が起きたらしい。

 抗生剤をもらってのむと、熱や腫れなどの症状は治まった。でもアトピー患者にとって、「かかない」ということは難しい。

 診察の時、皮膚科の医師に「また同じことが起きたらどうしたらいいですか?」と聞くと、医師は言葉をつまらせた。

 勇気を出して、SNSで気になっていた新しい薬の名前を言葉に口にした。

 「デュピクセントという薬が…

この記事は有料記事です。残り1647文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
鈴木彩子
くらし報道部
専門・関心分野
医療・健康、脳とこころ、アレルギー