連覇ではない、変わらぬ「敗者復活戦」 仙台育英・須江航監督の1年
(23日、第105回全国高校野球選手権記念大会決勝 宮城・仙台育英―神奈川・慶応)
昨夏、「東北勢初優勝」という1世紀余りの悲願を成し遂げた。
東北6県のどこに行っても、「おめでとう」とともに「ありがとう」を言われた。
高校野球の持つ力の大きさをかみしめた。
ただ、そうした優勝経験を指導に生かしているということは、一切ない。
仙台育英の須江航(わたる)監督(40)は、そう明言する。
昨夏の新チーム発足以来、掲げた目標は「連覇」ではない。
「2度目の初優勝」だった。
部員らには「僕がもし優勝したチームと比較するようなことがあれば、すぐに手を挙げて話を遮ってくれ」と伝えていた。
自分以外のものと比べたらストレスになる。等身大でいてくれれば良い。そう考えていた。
兄や姉を持つ選手が多く、真っ先に海に飛び込むのをためらうペンギンの群れのような、穏やかな「弟ズ」(須江監督)のチームだ。
昨夏の優勝メンバーは8人残るが、慢心したり図に乗ったりする選手はいなかった。
部員らに繰り返し伝えてきたことがある。
「人生は敗者復活戦だ」
負けたとき、失敗したときが、人生が好転するチャンス。そう信じていた。
自らもそうだった…
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