医療の進歩によって、がんや心臓病などの重い病気にかかった子どもの命が救われるケースが増えた。そうした病気を経た人は大人になっても小児科にかかり続けることが多く、成人特有の病気が適切に対処されなかったり、大人を診る診療科へ移ろうにも受診先に迷ったりすることがある。それぞれに合った医療や支援につなげる「移行期医療」をどう進めるかが課題となっている。
13歳で急性骨髄性白血病になった女性(46)は、二度の再発・寛解を経て大人になった。今は小児病院の主治医のもとで定期検査を受けながら、必要に応じて成人診療科に紹介状を書いてもらっている。ただ、今も戸惑うことがあるという。
これまでにかかった成人診療科では「どこも悪くないのになぜ検査するの?」などと、病歴を踏まえない質問をされたこともある。小児がん患者は、治療や病気の影響が大人になってから様々な形で表れるリスクを抱えている。女性は「健康な人と比べてリスクが高いことが理解されていないのが不安だ」と話す。
女性は昨年、大腸がんが見つかり、消化器外科で手術を受けた。今年6月に「肺に影がある」と指摘されたが、再検査は2カ月先、診察はさらに1カ月先だった。
速やかに検査や診療をしても…