半世紀後、社会の1割が外国人に 人口問題の専門家と見る日本の未来
国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によると、日本の総人口は現在の約1億2600万人から、2070年に8700万人まで減ります。激減には違いありませんが、6年前の見通しよりは減少速度がやや鈍る見通しです。理由は寿命の伸びだけでなく、外国人の増加です。これは朗報なのでしょうか。同研究所の林玲子副所長に聞きました。
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――人口減ペースがやや鈍るとの予測を今春公表しました。ただ、これまでも予測より、実際の人口が低い結果となってきました。今回の予測も楽観的すぎるのではないですか。
「これまで予測が実際より楽観的な結果になってしまったのは、下がった出生率がすぐにまた上がり始めるという仮定を置いてきたからです。ただ、それは日本だけのやり方ではありません。世界共通です。歴史的に人口学者はそういう仮定を置いて推計してきました」
「例えば国連人口局が22年に発表した新しい人口推計では、日本も中国も、出生率は23年から上向く予測になっています。現実的にはおかしいけれど、またいつかは人口置き換え水準に近い出生率に戻るという前提を置いているのです」
――日本の今回の推計もそうなのですか。
「実は日本も以前は、出生率の実績が1・6まで落ちたとき、その後2・1まで再び上がっていくという前提で計算していました」
「でも少し前から見直し、出生率が再び上がらない前提に切り替えました。実際には05年から出生率は上がっていましたが、前回の17年推計では出生率はもう上がらず、フラットに推移するという前提で推計しました」
「世界人口はピークを打つ」 その理由は
――国連は昨年、現在80億人弱の世界人口が86年には104億人でピークを打って下がり始めるという推計を初めて出しました。これも、最近は100億人までいく前にピークを打つのではないかと予測する専門家もいますね。
「100億人まで増えないだ…
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- 【視点】
人口の変動要因となるのは「出生」と「死亡」、そして「国際人口移動」だ。“日本の人口減少のペースを和らげているのは外国人の流入である”という現状を考慮すると、「出生(出生率の回復)」だけでなく「国際人口移動(日本で暮らす外国人の増加)」につい
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