60代の男性教授から、女性講師へのパワハラが始まったのは6年ほど前にさかのぼる。
教授が山口大医学部に着任したのはその2年前。当初は、教授の物腰も丁寧だった。それがだんだん「他の先生みたいにもっとちゃんと指導してください」など、女性への物言いが冷たくなってきたと振り返る。
女性は教授が着任する前から大学にいた。授業や実習に加え、同窓会の理事や学内委員会など、研究以外にいろいろな活動をしていたのが気に障ったのかもしれない。
教授からは、研究室の業務とは関係のない同窓会理事を辞めるように言われ、従った。それなのに、教授の言動は変わらなかった。そう女性は訴える。
教授の指示する実験に疑問がわいても、怖くて反論できない。次第に頭痛やめまいに襲われるようになった。
あるとき、新たに実験室を設置することになった。事前に席を移動するように言われていたが、体調不良で休んでいる日に急に決行が決まった。仕方なく出勤して別室にパソコンなどを移しておいた。
翌日出勤すると、実験ノートや書籍などの私物が廊下に放置されていた。教授の指示で学生がやったという。
「なぜここまで」
ショックを受けた女性は、これを機に教授と話し合うことを決意した。
自分だけに厳しいと感じていること、言い方がきついこと、指示が多すぎて優先順位がわからないこと……。
勇気を出して伝えると、教授からは思いがけない反応が返ってきた。
「もっと成果を出すように」…