第4回大谷翔平は「逆方向へ引っ張る」 ホームラン王へつながった打球角度
大リーグでは2015年から動作解析システム「スタットキャスト」が導入され、打球速度と角度を組み合わせた「バレルゾーン」という指標が考え出されてきた。バレルゾーンに入った打球はより飛距離が出て長打になりやすく、力のある大リーガーを中心に打球速度と角度を意識して打つようになってきている。ゴロを減らし、長打を狙って、打球に角度をつけて打ち上げる打撃理論。いわゆる「フライボール革命」だ。
アメリカン・リーグの本塁打王に輝いたエンゼルス・大谷翔平の今シーズンの打撃の進化について、野球選手の動作解析を研究している神事努(じんじつとむ)・国学院大学准教授に聞いた(取得データは球宴前時点)。
――飛距離を出すにあたって、打球速度や打球の角度、打球の回転数の三つの要素が影響しますよね。大谷選手に関して取得したデータから、どう分析されていますか。
「今年の大谷選手は全体的に打球速度が上がって、高い打球角度で打てています。例えば、本塁打を打ったときの平均打球速度は今年、176.0キロを記録しています。シーズン46本塁打を放った2021年は176.9キロで、その時よりは速くないのですが、大リーグ1年目だった18年の171.2キロと比べたら、速くなっています」
「本塁打の打球方向で言えば、大リーグに挑戦したころは中堅方向が多く、21年は引っ張った当たりが多かった。今年はそこまで引っ張らなくても本塁打になる当たりが増えています」
――前提として、打球速度が上がると、飛距離が伸びますよね。
【連載】BIG FLY オオタニサン!! 大谷翔平、ホームラン王の衝撃
「BIG FLY オオタニサン!!」はエンゼルスの地元テレビ局のアナウンサーが生んだ名フレーズ。関係者のインタビューでオオタニサンのすごさに迫る連載です。
「打球速度が1キロ上がると…