中3で脳腫瘍 書き続けた日記15冊 小児がん治療の後に起きたこと

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小林一茂
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 小児がんの治療で受けた抗がん剤や放射線で、症状が落ち着いた後でも内分泌や生殖機能、臓器などに様々な障害が現れる晩期合併症。終わらない治療や経過観察は、経済面や将来の不安が、本人と家族に重くのしかかる。小児がん専門病院でつくるグループは実態解明のため、大規模観察研究を進めている。

小康状態から5年後、てんかん発作

 横浜市に住む土井優奈さん(23)は、通っている福祉施設から自宅に帰ると、ベッドへと向かった。細い体を揺らして横になると、30分ほど眠りについた。「すぐ疲れて一日に最低3、4回は寝ちゃう」。母親の富美子さん(53)は苦笑する。高次脳機能障害を抱え、朝食後や集中したあとは疲れて横になる。

 高次脳機能障害は集中力が続かない、疲れやすい、意欲が減退する、などの傾向がある。今は週数回、集中力や記憶力を鍛えるリハビリを受ける。その一環として手術後から始めた日記は15冊以上になり、事あるごとに読み返す。体力が落ちないように、週末は家族で、近くの公園を散歩する。

 優奈さんは中学3年だった2015年、小児脳腫瘍(のうしゅよう)と診断され、開頭手術を受けた。腫瘍が脳内の広範囲に広がり、全ての除去はできず、都内の病院で放射線や抗がん剤治療を受けた。翌年、がんは消失したが、治療の影響が視力や聴力、内分泌機能などに残っており、定期的に診察や治療を受けている。5年後の21年には、てんかん発作に見舞われ、発作を軽減する器具を胸に入れる手術を受けた。

成長するにつれ起きる障害、なくなる助成

 優奈さんは、国指定の小児慢…

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