お姉ちゃんが抱えていた秘密に、40年間も気づけなかった。
5年前の秋、会社員の女性(55)は東京・銀座の美容クリニックにいた。
更年期の症状がつらい頃だったが、変わらず美容には気を遣っていた。「レーザーでシミとりしてもらってこよう」と足を運んだ。
メイクを落とすため洗面所に入ると、同世代の女性がいた。
あれ?
はっとした。
「お姉ちゃん?」
やはり姉だった。次の瞬間どきっとした。
足も手も、体も、骨と皮だけ。
顔に目を移すと、目は落ちくぼんでいて、しわが深く刻まれていた。
「ああ、奇遇やね。来てたん?」
姉は、妹が戸惑っていることにも気づかない様子で、にっこり笑った。同じクリニックに通っていたが、会うのは1年ぶりだった。もともと痩せていたが、さらに痩せていて、別人のように見えた。
三つ年上で、シングル。公務員としてキャリアを積み、趣味の声楽に熱中し、元気で過ごしているはずだった……。予約の時間が迫っていたため、その場では話すことができず、女性は施術室に向かった。
施術を受けながら思いだした。そういえば先日、クリニックの医師が言っていた。
「お姉さん、痩せすぎてやばい感じがする」と。
このことだったんだと、青ざ…