「餃子の王将」社長射殺から10年、残る謎 長男「真相解明信じる」

光墨祥吾
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 「餃子(ギョーザ)の王将」を展開する王将フードサービスの社長だった大東(おおひがし)隆行さん(当時72)が京都市山科区の本社前で射殺された事件は19日、発生から10年を迎えた。

 京都府警は昨年、北九州市を拠点とする特定危険指定暴力団工藤会系組幹部の田中幸雄被告(57)を殺人などの疑いで逮捕した。背後に指示役がいるとみて捜査を続けている。

 2013年12月19日午前5時45分ごろ、大東さんは1人で乗用車を運転して出勤。本社前の駐車場で車を降りた直後、自動式拳銃で腹や胸を4発撃たれ、死亡した。至近距離から撃たれたとみられる。

 目撃者はおらず、犯行の瞬間を捉えた防犯カメラもなく、凶器の拳銃も見つからなかった。

 府警は、現場付近で採集されたたばこの吸い殻に注目。付着物のDNA型鑑定をし、田中被告のものと一致した。事件前、現場周辺の防犯カメラに田中被告と似た男が映っていたことも判明した。

 現場から約2キロの場所ではオートバイとスクーターが放置され、オートバイに銃を撃った際に残る硝煙反応を確認。2台は事件2カ月前の同じ日に盗まれ、付近の防犯カメラには田中被告が知人から当時借りていたとみられる福岡県久留米ナンバーの軽乗用車が映っていた。

 府警はこうした状況証拠を積み重ね、昨年10月、殺人と銃刀法違反容疑で田中被告を逮捕。京都地検が同罪で起訴した。

 来年2月7日、田中被告の公判前整理手続き京都地裁で初めて開かれる。初公判の日程は決まっていない。

 殺害された大東さんの長男、剛志(つよし)さんは事件から10年を前に朝日新聞の取材に応じ、「真相解明を信じています」などと語った。

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