がんと診断された時、数多くある病院のうち、どこで治療を受けたらよいのか。迷う患者やその家族の参考になる情報を、工夫して発信する自治体が少しずつ増えています。その先行事例を紹介します。
12のがん種類ごとにおすすめ施設紹介
肺がんならこのリストから、食道がんならこのリストから――。沖縄県は、12のがん種類ごとに、専門家が決めた要件を満たす2~14の医療機関を、県のサイトなどで公表している。
要件は、地域のがん医療を担うがん診療連携拠点病院や県、医師会などでつくるがん診療連携協議会のもと、がん種ごとに、主な病院の幹部で構成する委員会で議論して決める。学会の認定施設かどうかや実施している手術の件数、薬物療法の件数などの項目がある。
県の患者向けハンドブックでも、がん種ごとに要件を満たす医療機関を掲載している。取り組みを進めてきた琉球大学病院がんセンター長の増田昌人さんは、「一定の質を確保していると考えられる」と話す。
県は、手術が難しかったり患者数が少なかったりする希少がんや小児がんを中心に医療機関の「集約化」をはかり、乳がんのように患者数が多いがんでは各地域に配置して、医療機関ごとの役割の明確化を進める。
増田さんは、「がんと告知された患者や家族が、治療開始までの短期間に、膨大な情報から医療機関を選ぶのは簡単ではない。専門家が一定の基準を設けて医療機関を選び、わかりやすく公開することが、患者のためではないか」と話す。
患者側が病院を選びやすいよう、院内がん登録の情報などを活用し、わかりやすい情報提供をするところもある。
他県の情報やセカンドオピニオンも
愛媛県の「がんサポートサイ…