「献体が足りない」究極のボランティア、手術訓練や医療機器開発にも
松田昌也
【動画】献体が足りない? 外科手術訓練の現場を追う=松田昌也、角野貴之撮影
死後、自分の身体を医学の発展のために捧げる究極のボランティアがある。「篤志献体」と呼ばれる制度で、医師・歯科医師養成のための解剖学実習などで使われる。医療の高度化に伴い必要性は高まっているが、献体は不足しがちな状況にある。その現場を追った。
昨年12月の日曜日。北海道大学医学部の臨床解剖実習室に地元のほか首都圏や関西圏など、全国各地から33人の医師、看護師、臨床工学技士らが集まった。篤志献体による遺体を使った外科手術の手技訓練「CST」(カダバー・サージカル・トレーニング)が行われていた。
実習室はフィルター付き排気装置が備えられ、意外にも、ホルマリンなど薬品の匂いを感じることはない。使われる遺体は、医学部生の解剖学実習とは違い、できるだけ生体と似た感触が保てるように薬品を替えて防腐処理されている。もちろん血は流れない。
午前9時、運び込まれた4体の遺体に全員が深く頭を下げて黙禱(もくとう)してから訓練が始まった。
難しい手術、「ぶっつけ本番」にしない
今回のCSTでは、ベテラン…