京大が学生に明け渡し求めた「吉田寮」とは 築110年、自治の文化
現役の学生寮として国内最古とされる京都大学「吉田寮」の現棟(旧棟)に住む学生らに対し、大学が明け渡しを求めた訴訟で、京都地裁は16日、在寮生14人について大学の請求を棄却し、居住を認める判決を言い渡した。吉田寮とはどんな場所なのか。なぜ、裁判に至ったのか。
吉田寮は、京大の本部がある吉田キャンパス(京都市左京区)の一角にある。
大正時代の1913年に建てられた現棟と、2015年に建てられた新棟からなる。現棟の食堂は1889年に建てられ、1913年に現棟に移築された後、2015年に補修された。
寮の自治会によると、23年5月時点で現棟と新棟合わせて約120人の寮生が暮らしている。
明け渡し訴訟の対象となった現棟は、木造2階建てで、和室が120室ある。建築史学会によると、明治期に建てられた旧制第三高等中学校の寄宿舎の部材が再利用されているという。
同学会は15年11月、文化史的価値だけでなく建築学上も重要な意義を有する存在だとして、現棟の保存活用を求める要望書を大学に提出している。
吉田寮の寄宿料は月400円。水道光熱費約1600円と自治会費500円と合わせ、月額計約2500円で住むことができる。
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元寮生でつくる「21世紀に…
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- 【視点】
建築としてとても価値がある建物で、特に旧食堂は京大に数ある歴史的建築の中でも最古とされています。独特の自治文化も魅力的で、かつて取材で訪れた時は、中庭でヤギやニワトリが飼育されていたのに驚きました。そんな雰囲気も含め、京大の魅力になっている
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